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暫く走り続けていると体が温まり、汗が染みだしてきた。でも、別に苦しくはなくむしろ心地がいいくらいだ。彼も同様で、むしろ僕よりも重いものを背負っている分、背筋を伸ばしたまま走り続ける体力にはいつも感心する。
「そう、いえば、今日の、朝食、なんだと、思う」
言葉の節目毎に呼吸を繰り返しながら聞く。本当はもっと声を張り上げながら走ると良いんだけど、流石に近所迷惑と言うことで自重している。
「そう、だな。肉が、欲しい」
自らの願望を口にした。いつも通り喋ろうと努力はしているものの、語尾はやや切れ気味になっている。彼の人間らしい所の1つだ。
「僕、は、豆の、スープ、だと、思う」
「あれは、いらん」
ただ、どうしても喋りながら走ると息が上がってしまい、徐々に声が小さく、短くなっていく。
「なん、で」
「うす、い」
その上彼の返事は基本的にぶっきらぼうだ。当然、僕の方が長く喋ることになる。こういう時のための提案を1つ実行することにした。
「しりとり」
彼がこちらに顔を向ける。ただ僕を見ながら走り続ける。
「しりとり」
息遣いの音だけが辺りに響き、なんとも言えない気分になっていったところで彼が前を向いた。
「りす」
茶色い小動物。
「すぎ」
山の麓の川辺に生える木。
「銀貨」
高級貨幣。
「かま」
「なん、の」
「にる、ほう」
調理器具。資金のない農民が戦争に参加する際の盾。
「まな」
この世界を流れる魔力の流れ。多く集まるところに魔鉱山が出来る。
今日新しく分かった事――しりとりは結構疲れる。ただ、声を出して走るよりも頭を使う分、息が苦しくなる時間が早く感じた。そのせいで、朝食が出来上がる前に1度汗を拭くために、井戸から水を汲むのに時間がかかってしまった。
「しりとり……きついね……」
「ああ……」
それはもちろん彼だって例外ではなく、最後辺りには1回だけ剣を肩にかける位置を右から左に移していた。
そんな中、今日の朝食は茹でたジャガイモと豆のスープにパン。いつもは早くに行くためおかわりも出来たのだけど、今日は遅かったしおかわりは無理だ。食堂はだいたいは配膳を自分達で取りに行く方式が採用されていて、料理の入った器ごと配られたものをもらうようになっている。そのため、通常はおかわり自体が出来ないのだけれど、人が少ない時だけは例外的に可能と言う訳だ。
動く分、多量に食べ物を食べないと気が済まない僕らとしては、それに頼れない以上は昼間で空腹で過ごさないといけないなと思った。




