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朝――。いつもどおり、僕はしわくちゃのベッドで目が覚める。辺りはまだ暗く、特に何も用事がないのであれば寝ていても良い時間だろう。それから数分間、ただぼーっとする。眠い。もう1度寝ることが出来たらどんなに心地いいだろう。でも、静かな室内には既に起きた人たちの活動する音が伝わる。この音に耳を澄ませていると、どういう訳か寝てはいけないような気分になる。僕はベッドから這い出て、窓を開けた。
瞬間、涼しい風が頬を撫でて気分をすっきりさせる。僕はその風と胸いっぱいに吸った。今度は頭がすっきりして、これからしなければならないことを自然と思い出せた。
僕はすぐに窓を閉めると、動きやすい服装――つまり、いつも着ている服――に着替える。それから、水筒に余っていた水を一口だけ飲むと、昨日見た大剣と同じくらいの大きさの木剣と一緒に背負って外に出た。
「おう」
外には既に彼の姿があった。トレーニング前の軽い運動は既に終わったらしく、今は軽い素振りをしている。
「遅くなってごめん」
彼は僕の謝罪を挨拶同様適当に流すと、自分の背丈よりやや大きめの木剣を正しく型どおりに降り続ける。僕はそれにならって軽く体を解す運動に入った。
周りに人の姿はなく、恐らく朝早くに起きる必要のある召使いを除いて活動しているのは僕たちだけだろう。現に外に出る途中は、食堂で給仕が朝食の下準備をしていただけで他に会うことはなく、食堂内の音が不自然に響き渡っているだけだった。因みに僕の見立てでは、今日の朝食は茹でたジャガイモと豆のスープにパンだ。良くもないし悪くもない。
そんなことを考えている内に運動は終わり、彼の素振りも丁度良くきりの良い回数になった。大抵の人の背丈以上の長さの剣を使って素振りを行った割に、彼は汗を少しかいただけだ。故郷の訓練と比べれば確かに軽いものだけど、僕の背負っている木剣とは違って、彼の木剣の中には鉄が入っていることを考えると本物と重さは変わらないだろう。
「それじゃあ行こうか」
彼はただ頷いて、2人で一緒に走り出した。だいたいこれから日が昇るまで、僕らはこの木剣を背負って走り続ける。これはここに来てから毎日していることだ。休日には更に領主邸の用心棒に頼んで練習をしてもらう。
この都市国家にはそこまで危険なことは少ないのだけれど、それでも故郷で見に着いた習慣はなかなかぬぐえるものではなく、やらなかったら逆に気持ち悪くなるんじゃないかと思う。




