6-1.王宮への帰還
6-1.王宮への帰還
ゲルトらを乗せた馬車は夜中に王宮に帰還した。早馬で知らせておいたおかげで、それなりの出迎えがあった。ゲルトもすぐに入院した。
エレナ付きの侍女が言った。
「陛下より昼まで寝て良い、午後参内せよとの言伝です。」
エレナは微笑んだ。
「そう。ありがとう。でも朝行くわ。身体を拭いてくれない?埃っぽいの。」
侍女達は手分けして動いた。ある者は参内の手配へ、残りはエレナの清拭に付いた。 飲み物を口に流し込み、軽くストレッチをするとエレナは泥のように眠った。朝には、エレナはしっかり起きて侍女にブラッシングをさせていた。
――お肉が食べたいの。
前日リクエストして、エレナは武芸者の宴のような朝ごはんを食べた。音一つ立てない所作であるが、咀嚼のスピードは速かった。食べながら、顔色に赤みが戻ってきていた。
扉が開くと、侍女達が一斉にお辞儀をした。陛下である。国王、アレックスは金髪で、口ひげも蓄えている。穏やかにエレナを制し、着座するよう促した。
「私も掛けさせてもらう。エレナ、早いな…おかえり。」
「おはようございます。陛下…エレナ、昨夜帰還しております。」
「良い良い。私もここで食べても良いか?」
アレックスはエレナに尋ねた。
「もちろんです。」
陛下が目配せすると、侍女達は料理長の元へ走り、即座に朝食を用意した。二人前の料理が来た。その頃には王妃も髪を整えて姿を見せた。
国王夫妻は「いただきます」と手を合わせると、普通に朝食を摂り始めた。
「村はどうだった?」
陛下が口火を切った。エレナは頷いた。
「はい。」
エレナは、慌ててローストビーフを飲み込んだ。
「一言で申し上げれば、分かったことも増え、分からなくなったことも増えました。」
陛下は目を細めて王妃と目を合わせた。
ーーじゃろ?
ーーですね?
夫唱婦随の会話が目で行われた。エレナには両親の以心伝心がピンとこない。
――二人は念話が使えるの?
陛下は続きを促した。
「はい。」
ーーどこから話したものか…。
「端的に申せば、我々は何かボタンのかけ違いをしたまま、駆除をしているのかもしれません。」
アレックスは、身を乗り出した。エレナは背筋を伸ばした。




