↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍と刀  作者: 新堂 玄
69/69

6-2.国王夫妻との朝食会

6-2.国王夫妻との朝食会


 「ボタンの掛け違いとは?」

陛下の問いは短い。


「はい…。まず、穴が開いた原因は、魔族の陰謀ではないようです。穴の魔族側はボリス伯爵の領地とのことですが、伯爵家もこの穴には迷惑している立場のようです。 彼らの陰謀でも、魔王の命令でもないようなのです。」

「何じゃと?」

王は目を丸くした。マルタ王妃は静かに聞いている。

「して、原因は?」

「申し訳ございません。私にも原因は分かりませんでした。ただ、現地の村人も、魔族側も、原因を知るものがいませんでした。しかし、大きな鍵らしきものに行き当たりました。」

「エレナのいう鍵とは?」


――エレナはワンテンポ置いた。


「精霊です。」

 いよいよアレックスの顔が曇った。

「精霊…?」

「はい…。穴の拡大には、数多の精霊が関与しています。」

アレックスはまだ全貌を掴めない。エレナは水を飲んだ。

「精霊は、魔界から人間界に魔素を持ち出し、こちらに精霊の王国を作ろうとしています。そして、魔界ではこのために魔素が枯渇し、魔素が豊かになった人間領にゴブリンやコボルトが溢れています。そして、厄介なことに、魔素が薄いと下級魔物は狂化して暴れます。この『狂化』が大変なので村の駆除隊が魔物を駆除しているわけです。実際、村の防衛戦はギリギリで、騎士団を送らないとそこから王国が侵食されかねません。速やかにフランツら騎士団を村に送って頂く必要がございます。」

「分かった。」

陛下は執事に命じた。

「フランツに騎士団を与えて村に向かわせよ。輜重隊も出すように。」

執事はかしこまり下がった。即座に伝令が飛んだ。

「騎士団を送ってもらえばまず安心で、その後は、入念に検討したい情報です。」

王妃は満足そうに聞いている。

「その検討事項とは?」


陛下は短いが要点を聞いてくる。あくまでも穏やかだ。


「はい。穴の拡大には精霊が関与していそうです。これもあくまでも仮説なのですが…。そして、精霊には、穴で悪さをしている自覚がないようです。蟻のように精霊が増えていましたが…何か原因でもあるのでしょうか?それと…精霊が見えるほどの優秀な戦士ほど、怪我をしやすいです。

ロナウド隊長、サミュエル副長、そして、王女近衛筆頭のゲルト。3人とも精霊に気を取られて負傷しました。」


「なるほど。それでは、対策は?」

「実はゲルトが負傷したのは私のせいなのです。」

エレナは申し訳なさそうに語った。

「そなたを庇ったのではないのか?」

「いえ…私は危険に陥っていませんでした。」

エレナは、懐から眼鏡を取り出した。

「こちらは魔道具、精霊透視の眼鏡です。実は――

――三人の負傷者はみな、武芸に優れ、その共通点はとても目が良いことでした。つまり、戦闘中に精霊が見えると、気を取られて負傷しやすいのです。」

とエレナはまとめた。そして、アビーと三人で眼鏡をかけて出撃した結果、穴の周りは数多の精霊がおり、一瞬行動の止まったゲルトが咬まれたと、淡々と説明した。


陛下は続きを無理に促さず、黙考した。口を挟む時間ではないと判断し、一通り話すとエレナは水を口にした。


マルタ王妃は、静かにナイフとフォークを運びながら、食事を続け、要所で静かに頷いていた。


「単なるゴブリン騒ぎではないな。」


重い口を開いて国王は言った。


「おそらく、仰せの通りかと。」

「まだ、お前なりの仮説や疑問があるのだろう?」

「はい…。」

チラリと王妃を見る国王、王妃は優しく頷いた。

「お前の意見や推測も含めて話してみよ。」


王の下問は、核心に迫った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。