5-14.非番の朝
5-14.非番の朝
そして、非番の日の朝が来た。その日は軽い曇りで、雨の気配もなく、暑すぎず寒すぎず、過ごしやすい日になりそうな予感がした。
「おはようございます。」
俊太郎は、一応武器も持ちつつ、今日のメインになる精霊眼鏡を携えて、サミュエルの家を訪ねた。行くとサミュエルはもう準備を終えていた。
――陽気だけど所作はきちっとしてるんだよなぁ。
俊太郎は改めて尊敬した。
そして二人は、泉のほとりに着いた。まだ魔物は湧いていない。駆除の時間まで1時間ほど早い。
「ま、もし、見ちゃったり湧いてきちゃったりしても、すぐに駆除隊が来るからな。」
サミュエルは明るく笑った。
やがて二人は、穴付近に来た。サミュエルと頷き合うと俊太郎は眼鏡を掛けた。沢山の精霊がいた。うじゃうじゃと、落とした甘菓子に群がる蟻のように。
「精霊だらけじゃない!」と、エレナが叫んだのも理解出来た。そして、不思議なことに見えると聴こえるのだ。
「魔素を運べ。楽園を作ろう!」
「精霊の都を作ろう!」
「サミュエルさん――。」
俊太郎は、血の気が引いていた。吐気がするのか少し口を押さえつつ、片手でサミュエルに眼鏡を手渡した。
「どれどれ?」
サミュエルは、軽く眼鏡を掛けた。
「何じゃこりゃあ?!」
サミュエルも思わず大声を出した。
「多すぎる・・・。しかも、なんか運んでやがる。魔素?」
「明日じゃない。ロナウド達が今日の駆除を終えたら、すぐに見せよう。」
サミュエルは言った。二人とも観察に行っただけのはずが、1日の戦闘を終えたかのようにぐったりしていた。




