5-11.現場へ
5-11.現場へ
その日の朝、エレナは、二人の護衛と、騎士達を連れて、穴の所にやって来た。騎士達はみな、戦闘用の革鎧を身に纏い、剣を持っている。
「アビー、ゲルト、これを。」
エレナが二人に渡したのは、魔道具の眼鏡だった。
「これは一体どういったものでしょう?」
ゲルトは訝った。
「精霊を見えやすくする眼鏡よ。私達3人は今日は眼鏡をかけて出るわ。精霊の話は、昨日初めて聞いたので、私たちの分3つしかないの。ロナウドも村一番の使い手、サミュエルも副長クラスで動体視力は一番と言います。彼らが一瞬気を取られて受傷しています。あなた達も気をつけて。」
「分かりました。それにしてもよくこんなもの予め用意してましたね?」
ゲルトが感心している。
「ありがとう。でも…。」
それでもエレナは悔しそうに、
「ええ。予め把握していればもっと揃えられた。けど、見える方が危険かもしれないわ。目の良い二人が負傷してますから。ないならない方がいいかもしれない。
私は王族として、見たら陛下に報告しなければなりません。あまり戦えませんが、見られるものは見ておきたいの。」
エレナは、軽装に見えたが、護符に覆われたその身は、駆除隊随一の防御力を誇っていた。 エレナは、おもむろに眼鏡を掛けた――
「何なのこれ?!」
エレナが珍しく大きな声を出した。アビーも汗をかいており、ゲルトも顔色が悪い。
「何かありましたか?」
ロビーが心配そうに三人に尋ねた。
「精霊だらけじゃない!」
「ナンカサトイヒメガイル
ワタシタチガミエルモノガイルゾ
穴のコッチに魔素を運べ。住みやすくしよう。
ソレハコベ
ヤレハコベ」
――なんてこと!?
全貌は理解出来ない。うじゃうじゃと湧く精霊が、かなりの事態を動かしているようだった。エレナは目眩を覚えたが、歯を食いしばって耐えた。
俊太郎らは見えてないからか、軽快にゴブリンを斬り捨てて行く。いつもは槍がメインだが、先ほど改良された村霧Ⅱを使いたくて俊太郎は刀を快調に振った。
「危ないぞ!」
その時、アビーが怒声を発した。




