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龍と刀  作者: 新堂 玄
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1-6.緒戦

1-6.緒戦


「出るぞ!」

 ロナウド隊長が声を掛けると、副長ロビー、サミュエルが槍を手にした。他の隊員らも呼ばれている。

「お前らにも槍を持たせる。出ろ!」

 サミュエルが、俊太郎、ルイス、ティエリに槍を持たせた。ルイスは目鼻立ちのはっきりした奴だ。ティエリは目のくりくりした黒人だ。


「お互いに背中を預け合うんだ。仲良くしろよ。」

 サミュエルが三人の肩をぽんぽんと叩いた。


「理由は全く分からないが、魔物が湧くのは普通は、9~10時の間だ。主にゴブリンかコボルトだ。非常に稀だが上位種が出ることもある。敵の武器は棍棒が多いが咬むこともあるから注意しろ。基本的に槍で突く。なお、遺体は消えない。後で回収だ。邪魔なら、自分で除けておけ。今日は新人三人にも槍を持たせる。各自怪我のないように。」


 副長のロビーが説明を行った。金髪の目つきの鋭い武人である。

 一同、現場に急行した。


 既に先行隊が押されつつあった。今日の魔物はゴブリンだった。

「押し返せ‼︎」

隊長が叱咤する。

前線は、駆除隊とゴブリンの双方が、ぶつかり合っていた。

ロナウドもロビーも鬼の形相で、狩り続けているが、狩っても狩っても湧いてくるのだ。

ーーおかしい…。サミュエルは、背中の汗が冷たく感じた。


「今日は変だぞ。俺も出る。」

新人の案内と保護をしていたサミュエルも前線に飛び込んでいった。が、瞬間足りないと判断し、

「おい、お前らも戦え。やられるぞ。」

と三人にも指示した。


俊太郎らは、槍を抜いた。

「オラオラオラ!」

ルイスは勇ましく突進して行った。ティエリも声は出さないが軽快に狩り始めた。

俊太郎は、サミュエルの後ろについて、サミュエルの討ち漏らしを確実に仕留めていた。



ーー変わった戦い方をしやがる。

サミュエルは眉を上げた。俊太郎が左右や足元の二匹目・三匹目を払ってくれるため、サミュエルは存分に槍を突いた。

ーー存外効率良いじゃねぇか。悪くない。



サミュエルの槍に恐れをなしたゴブリンが避けようとするとそこに俊太郎がいた。何の躊躇いもなく首を刎ね飛ばした。

ーー物静かなくせにえげつないな。

サミュエルは苦笑した。



前に出た新人二人は流れるように魔物を斬り伏せていた。

ロナウドは少し懸念していた。

ーーこれだけやれる奴とは・・・、だが、前に出過ぎだ。

「つっ‼︎」

ルイスが左肩を負傷した。


斬!

ロビーがそのゴブリンを斬り飛ばした。

が、今度はティエリが脚に抱きつかれて転倒した。ロナウドはそのゴブリンの背を突き刺した。



「新人、下がれ!」



「ちょっと行ってきます。」

俊太郎がサミュエルの背後から消えた。最前線に出るや、転んだティエリを抱き起こし、後ろに逃した。追撃のゴブリンを袈裟斬りすると、鮮血が噴いた。ゴブリンらは足をすくめた。一瞬の時を作って、ルイスに肩を貸すと、陣の方へ走り出した。

ーーやるじゃねえか。と思う余裕もなく、サミュエルは一人で群がるゴブリンを跳ね除けた。

ーーアイツがいないと案外キツいんだが。

サミュエルは額から汗が出て来た。



「ただいま戻りました。アイツら救護に置いて来ました。」

俊太郎が再び、サミュエルの下に付いた。サミュエルは力みが取れ、槍を大きく振り回した。



その時だった。

サミュエルが目をしかめた。

「ーーせ…」

サミュエルが何か言いかけて2秒ほど固まった。



「危ない‼︎」

俊太郎の怒声にハッとした時には、サミュエルは足首を咬まれていた。


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