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龍と刀  作者: 新堂 玄
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5-1.王女来訪

5-1.王女来訪


精霊…。人間にはよほど目の良い者、運の良い者がチラリと見たとか見なかったとかいう。そもそもおとぎ話の世界のものだというものすらいる。なので、信じても話してもらえないこともあり、話題に出すべきか出さぬべきか、みな逡巡するのだ。

「精霊の関与は間違いないが…。」

ロナウドがためらいがちに言った。

「誰に相談したものか?そもそも信じてもらえるのか?」

「確かに。聞いてもらえたとして鼻で笑われる可能性もありますね。」

俊太郎も応じた。

「公正な方でないと。しかもある程度身分のある…。」

サミュエルも案じた。

「魔族ともめ事になりかねない繊細な案件だけに…。ある程度の身分と視野の広さを持つ方がいれば良いのだが…。」

「そうなんだよな。」

「偉い人が精霊なんて言って信じてくれるでしょうか。」

「そこだよなぁ。」

三人は頭を抱えていた。

「俺が村長から聞いた話だとーー」

 ロナウド・ロビー、そして俊太郎はサミュエルを見た。

ーー今度、王女エレナ様が穴の調査においでになるらしい。

「王女様?!」

 三人は驚いた。

 果たして、王族の物好きか?物見遊山か?

ーー王女エレナとは、どんな人なんだろう?

 その場の四人は、未知の王女という存在に緊張するのであった。


 そして、数日後、本当に王女エレナ様が騎士団派遣のために村に視察に来ることになった。村長はロナウド、ロビー、サミュエル、俊太郎を集めてそう言った。


「本当に、王女様がいらっしゃるのですか?」

噂としては聞いていたものの、実際に田舎の村に王女が来るとは本気で思っていなかったため、四人は目を丸くした。


「そうじゃ。2~3日逗留されると思うが、姫様には村長の客間を使ってもらう。

 現場もご覧になりたいとのことだ。もちろん、近衛騎士もつくが、こちら側の案内人も必要だろう。」


 みんなは顔を見合わせた。

 サミュエルが言った。


「歳の近いシュンがいいのでは。ルイスとティエリじゃ貫目が足りません。シュンなら副長代行ですし。」


ロナウドも手を挙げた。


「村長…。俺もシュンが良いとは思うのですが…。」

 ロナウドは少し難色を示した。



「なんだ?」

 村長はロナウドの懸念を問うた。


「その…魔族を庇ったと噂があって。いや俊太郎は魔族の手引きなぞしませんよ。けど近衛騎士の方が、シュンを警戒して剣呑な雰囲気になるのではないかと案じております…。」


「ふむ。実はな…これは、エレナ様の方からの申し出でもあるのだ。ホブゴブリンを両断した若手を知りたいと姫様もご希望なんじゃ。到着した日の夕方に少し懇談の場を設けてお互いを知ってもらう。その上で姫様に決めてもらえば良い。ベテランが良いと言われたらサミュエルが案内せよ。」


 そう言われると今度は、サミュエルはちょっと心配そうな顔をした。

「俺、肌が黒いですけどお姫様、大丈夫ですかね?」


 サミュエルは誇り高く生きているが、一部に偏見を持たれやすいことも経験済みである。彼自身は卑屈ではないが、もし王族に差別的な視線があるのであれば、お互いに嫌な思いはしたくないのである。そういう場合は、予めセッティングを避けておきたかった。


 だが、村長は言った。

「エレナ様は、気さくなお方と聞いている。お付きの騎士はわからんが。ワシはお前を信用してるが、やりたくないならロビーに任せても良い。ま、会ってみれば、そんな懸念はすぐ氷解するじゃろ。」


ーーエレナ様。もし、偏見のない綺麗な目をしているなら、この難しい案件をご相談出来るかもしれない。3人は村長の言葉に希望を持った。

 サミュエルや俊太郎の扱いが酷ければ、

ーー機嫌を取って帰ってもらうまでのこと。

 それぞれの腹は決まった。

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