4-13.ミレナの情報
4-13.ミレナの情報
――ゴブリンもコボルトも、「ヒト」だ。
――彼らを殺せば、「ヒト殺し」になる。
――お前達のことは、「ツノなし」という。
――魔界でもこの穴には、迷惑している。
ロナウドは、面談で聞いたミレナの情報をまとめていた。彼は、村一番の剣士であり、頭を使うのが得意なわけではない。そんな彼でも分かることがある。
――この穴の騒動は、何か、大きなボタンの掛け違いがあるのではないか?
それが何かは彼も分からない。しかし、魔族は魔族なりに、「領民」が漏出した上に「狩られて」しまうことを「迷惑」しているというのだ。実際、噂されている魔界大侵攻は、5年の間一度も起こっていない。魔王が本気になるならば、穴から自らと四天王を擁して、数日で王都を落とせば良いのだ。
――これは魔族の策略ではない。
――その上、彼らは我々の策略かもしれないとすら思っている。
ロナウドは唸った。
――双方の誤解が多すぎやしないか?
そしてこうも思う。
――俺の手には余る。誰か視野が広く、権限を持つ人がこの話を把握してもらえないだろうか?
しかし、ロナウドに権力者の知り合いと言えば、村長しかいなかった。
そこで、ミレナがソニアの所に遊びに来るのをダシにして、尋問口調にならぬように気を配りながら、ミレナから情報を引き出していくことにしたのだった。
新しい情報も得られた。
――魔族は魔法を用いてツノを隠せる。
――知的な高位魔族は、魔素がなくても狂化しない。
――魔界では、穴付近の魔素が枯渇して、人領に流れており、それがゴブリン湧出の原因の可能性がある。実は魔界のヒトも穴には困っている。
――高位魔族は、精霊が見える。
「精霊……か。」
自分の大怪我の原因になった「精霊」にロナウドは引っかかりを覚えたのだった。




