4-10.尾行
4-10.尾行
村霧を携帯しているとは言え、俊太郎は腕前初段半である。
複数の剣士に囲まれては逃れようがない。
もし街で、ミレナが魔族とばれて、拘留や処刑になったとすると、今度こそ魔族伯爵家が黙っていないだろう。
それを案じたロナウドが、ルイスとティエリを呼んで見てこい、と言った。彼らは今日は非番ではなかったので、駆除を終えてから街へ出向いたのである。
「いたいた。」
ランチタイムにシチューを頬張っている辺りから、尾行を始めた。
目端の利くルイスが、無言でティエリの肩を掴んだ。
「??」
ルイスがちらっと目線を後ろに飛ばした。
灰色のローブの男がいた。3~40代であろうか。陰鬱な雰囲気である。
ティエリは黙ってうなずいた。ティエリも勘は悪くないのだ。俊太郎らを、衝突しない距離でその男が観察してるように、二人は思った。
「魔導師じゃないのか?」
「あーそうかも。ミレナ嬢、ツノがなくても目立つしな。」
「確かに。」
「フィジカルなら負けないと思うが・・・。魔法を使われるとやっかいかもしれん。」
「気をつけよう。」
二人はうなずき合った。
遠巻きであるが、俊太郎が何度も帰ろうというのに聞いてもらえず、手を焼いている様が見て取れた。赤いイヤリングを手に取っていた。
「お嬢様の相手って大変だな?」
「だな?」
二人は苦笑していた。
支払いが終わり、俊太郎がイヤリングをポーチに入れた。
そして、歩き出そうかという時に、大声がした。
「魔族だ!魔族がいるぞ!!」




