4-8.襲撃
4-8.襲撃
歴戦の勇者、ロナウドでも、かなわないものがいくつかある。
騒がしくも軽い足音と、サロンにいた者達が、慌てる声が聞こえた。
「そっちは隊長室!」
「ずーるーいー!」
駆け込んできたのはロナウドに似た栗毛の少女だった。ソフィアである。
「ソニア、大人しく遊んでいなさいと言っただろう?」
どうやら隊長の娘なので、隊員が遠慮している間に、突破してきたようだ。
「へへん。足の悪いサミュエルなんか置いてきたんだから!まあ、かわいいお姫様!こんにちは。私ソニア。ロナウドの娘です。」
「ミレナという。ボリス伯爵家から来た。」
「ママー、私もおやつ!」
「はいはい。」
テレサは苦笑しながら、クッキーと紅茶を与えた。
「ねー。お友達になろうよ。女の子の友達欲しかったんだ!」
ソニアは一方的である。
「お前、私が怖くないのか?」
といいつつ、自分がツノを隠して変装中だったことを思い出した。
「ぜーんぜん。ねえ、それより今度はウチにおいでよ。お嬢様のお客さんが来たらきっと良いお菓子が出るわ。」
「こらこら。」
「すいません、隊長。」
置いてきぼりにされたサミュエルが松葉杖をつきながらやっとこさっとこ、謝罪に現れた。名剣士といえども松葉杖では10歳児に振り切られてしまう。
ロナウドは顔を覆いながらフォローした。
「すまん。俺の読みが甘かった。素直に聞く子じゃなかったな。」
「えー、良い子にしてたじゃん。だいたい話し終わったのでしょう?」
ソニアは口を尖らせた。
「じゃあ、今度は、街を案内しろ。ソフィアの家には、その次に。」
ミレナは切り上げた。
「また来る。ご馳走様でした。」
穴の前まで来ると、見事なカーテシーを披露したが早いか、くるりと穴を通り抜けた。
ソニアは、女優でも見たかのように、しばらくずっと穴を見ていた。
――本当にお姫様だったんだ。




