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龍と刀  作者: 新堂 玄
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3-14.落手

3-14.落手


 時が止まったかのようだった。じりじりとにじむ汗が、何度もしたたり落ちていった。

 ティエリは差し出しながら、長い沈黙の中、ひたすら祈っていた。


 ルイスは、ミレナがティエリを害しそうになればすぐに弾こうと、剣の柄から手を離さなかった。俊太郎は自分の心音がとても騒がしく感じた。


 ミレナの目が少し泳いだ。俊太郎の同僚のティエリが震えながら差し出しているが、書いたのは俊太郎以外はない。


――手に取るべきか、取らざるべきか。


 そして、ミレナは何か見えているのか、聞こえているのか、五月蠅そうな顔をした。


「分かってるわよ。」


 ミレナは、何かと対話しているようだ。ティエリも、虫の影のようなものを目の端に捉えた。

『ハナシヲキイテヤレヨ』

そう聞こえた気がした。


「ふん・・・。」

 鼻息は荒かったが、ティエリを尊重したのか丁寧な手つきで手紙を受け取った。


「……今日は、帰る。」


 きびすを返すと、ミレナは穴に飛び込んだ。


――読んでくれるのか?


 三人はミレナの去った穴を見つめていた。



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