3-11.考察2
3-11.考察2
――なんで精霊は、話を聞いてやれよ、って申したのでしょう?
イリナの疑問は、再びミレナを揺さぶった。
――男は、本当にミレナを蹴るつもりだったのか?
――男は、なんでゴブリンを刎ねたのか。
――イリナも勇者ならゴブリンを刎ねると言っている。それはゴブリンが私に何かしようとするからか?確かに気持ち悪かった。
――父上は、私を蹴って、ゴブリンを殺したので処刑すると言っていた。
――父上は、名乗りと宣告はしたが、ツノなしの話を聞こうとはしていなかった。
「私思うんですけどね。友達が魔法の練習してて、うっかり私に当たっちゃったとしますよね。ウォーターボールならタオルで拭けば良いですが、ファイヤーボールなら火傷します。まあ。どっちも嫌ですけど。でも、事情も聞かずに上級魔法ドカンと打ったりしませんけどね。」
イリナは非常に真っ当なことを言った。
「それは、そうだな・・・。」
「その剣士、本当にミレナ様を斬る気があったんでしょうかね?気を失った相手なら、いくらでもやりようはあったはずですし。もしくは、お嬢様ほどかわいければ、魔力封じの首輪を付けて、ツノなしの少女趣味の貴族に売れるかもしれませんね。うふふふ。」
イリナが悪い商人のような顔をした。頭も良くて、聞き上手だが、この表情がコロコロ変わるのが不思議な魅力である。演技なのに、本当に売り飛ばされたらどうしようとミレナは肝を冷やした。
「お前・・・。私を売り飛ばすんじゃないだろうな?」
「あははは。私が魅了以外ほとんど力がないのはご存じでしょう?お相撲とっても今のミレナ様に負けるかもしれませんし、クナイを投げられたら、1,2カ所当たってすぐに倒れます。能力的にも無理ですし、伯爵家には大恩こそあれ、恨みなどございませんわ。」
「うん・・・。びっくりさせないでよ。」
「まだ、付け狙いますか?」
「・・・。迷ってる。」
「ミレナ様。私は歴戦の勇者じゃございませんが、素人でも分かることがあります。迷う剣ではゴブリン一匹仕留められませんよ。今回は止めておくか、必殺で行くか、どっちかです。」
イリナは冗談めかして笑わせたかと思えば、じっと目を見て決断を迫ってくる。気圧されて、ミレナは息をのんだ。
「私はーー。」




