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龍と刀  作者: 新堂 玄
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2-8.帰投

2-8.帰投


 駆除隊が、人族領に湧いてきたゴブリンの駆除を一通り終えようかという頃に、穴から俊太郎が戻ってきた。

「よお、魔界旅行は楽しかったか?」

ロビーが敢えて陽気な声を掛けたが、血まみれを察して茶化すのを控えた。俊太郎はうつむいて首を振った。

まだ両手に、伯爵を斬った感触が残っていた。手は小刻みに震えていた。

ティエリが俊太郎に近づいて鼻をひくつかせた。

「ゴブリン臭くねえな。」


俊太郎は黙ってうなずいた。ティエリは、何か察して、口をつぐんだ。

ただならぬ雰囲気を感じたのか、ロビーが言った。

「後で詰め所に来い。隊長も交えて報告しよう」

「分かりました。」


しばらくして、俊太郎は返り血を洗い流した。血を洗い流しながら、耳の奥では少女の「ヒト殺し!!」という言葉がリフレインした。髪をかきむしり、何度も首を振った。ミレナの幻影をかき消そうとすればするほど、却って、「ヒト殺し!!」がこだまするのだった。


シャワーしながら、声を殺して嗚咽した。涙も洗い流して、目の腫れをごまかすと、乾いた制服に着替えた。


ロナウドとサミュエルも交えて、俊太郎は、ロビーと共に隊長室に集まった。

そこで、俊太郎は、報告を始めた。穴に落ちてからボリスと斬り合いになり、押し返すつもりが斬ってしまった・・・。途中、何度も声にならず、言葉に詰まった。


「しばらくは報復に注意せねばならん。」

ロナウドは、腕を組みながらそう告げた。


そして、若手案内役のサミュエルに、よくかまってやれ、と指示した。サミュエルは黙ってうなずいた。


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