18/83
2-4.落ちる
2-4.落ちる
サミュエルと食事をした翌朝、隊長代行ロビーの訓示があった。俊太郎も副長代行として同行した。ルイスとティエリは緒戦の軽傷から復帰してきたため、スリーマンセルを組むことにした。俊太郎が真ん中である。
その日の魔物はゴブリンだった。
槍が基本であるが、村霧の切れ味が気に入っており、近接戦になると、俊太郎は好んで刀を振るっていた。ミストのおかげでいくら切っても刃こぼれがしない。今日の駆除も人族が優勢であった。
「へへん、造作ねぇや。」
ルイスは、怪我で休んでいたのに鼻っ柱が折れない。ティエリも黙々且つ軽快に槍を捌く。
目の前のゴブリンと目が合った。
俊太郎はなぜか、北畠の鶏を思い出した。
「ゲッ。」
そのゴブリンも鶏のような声を出したが、くるりと振り返ると、穴に向かって逃げ出した。
「あ、待て!」
俊太郎は飛び出していた。
「シュン、セルから出るな!」
寡黙なティエリが大声を出した。
ゴブリンは穴に上半身を入れ、足を掛けて戻ろうとしていた。
「逃がすか!?」
俊太郎は、獲物の左足を掴んだ。瞬間、つるりと穴の向こうに落ちたのだ。




