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2-2.穴の向こう
2-2.穴の向こう
「サミュエルさん、ゴブリンってあっちに押し戻せないんですかね?」
ふと思いついて俊太郎が聞いた。療養中のサミュエルとはふくろう亭で良く食事をしている。
「うーん。」
鶏肉を食いちぎりながらサミュエルは唸った。
「俺にも、分からん。」
「ですよねぇ。」
俊太郎はため息をついた。誰に聞いても分からなかった。試しに、石ころやパンでも穴に投げ入れて見れば何か分かるかもしれない。しかし、もし刺激して魔物が増えてしまってはと思うと怖くて誰も出来ないのだ。駆除隊の人数は常にギリギリであり、特にロナウドとサミュエルを欠いた今、魔物を刺激するのは慎まねばならない。
「あっちの様子が分かれば、対策できることが増えるんじゃないですかねぇ。」
「それはそうかもしれない。が、5年間やったものは誰もいない。」
サミュエルは勝手なことはするんじゃないと釘を刺した。俊太郎はうなだれつつうなずいた。
――穴の向こうは誰が何をしているんだろう?
俊太郎はその思いを封印しつつその日も眠り落ちた。
夢の中で、角の生えた魔族と対峙したような気がした。




