↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍と刀  作者: 新堂 玄
12/83

1-12.御礼

1-12.御礼



狩っても狩っても、ゴブリンやコボルトは湧いてくる。

駆除隊の討伐は、毎日のように続いた。現場は、確実に臨界点へと近づきつつあった。既に俊太郎の同期は、療養中である。繰り返し現場に出るうちに、ロナウド隊長も、副長も、サミュエルも、次第に気づき始めていた。

俊太郎だけが、毎回くたくたにはなるものの、大きな傷を負わずに生還していることに。



偶然にしては、続きすぎている。サミュエルの足首の傷のような小さな負傷は、誰にでも起こりうる。だが、俊太郎にはそれがほとんどなかった。



――どうやら、運だけではない。



同じ戦場、同じ任務、同じ魔物。それでも、結果に差が出る。



サバイバル能力が高いというのも、間違いなく戦士の資質の一つなのだ。




そして、数日後のある日――。



一台の馬車が、北畠の道場に横付けされた。見覚えのある紋章だった。



「こちらにおられると伺いまして」



降りてきたのは、リズ・ローレンスだった。



その日は、俊太郎は非番で、師匠の道場に顔を出していた。



「命を助けていただいた御礼が遅くなり、申し訳ありません。

あれから父と王都へ仕入れに行き、ご助言どおり、泉を迂回して帰って参りましたの。」



商家の娘らしく、リズは長いまつ毛を瞬かせ、俊太郎を見上げながら語った。



「ご無事で商いができたのなら、何よりです。」



俊太郎も笑顔を返す。師匠は目配せで、稽古は中断して来客に応じるよう促していた。

客間に案内し、俊太郎がお茶を淹れた。



「それで……ささやかですが、御礼をお受け取りください。

こちらなど、いかがでしょう?」



差し出されたのは、一振りの刀と、御守りの護符だった。



「これは……?」



「この前、馬車の前でゴブリンを沢山倒して下さいましたよね。その際に刀が折れてしまったとのこと。お詫びと御礼に代わりの刀を差し上げたいと思います。

あまり知られておりませんが、さる名匠の作で、銘は、

『村霧』というそうです。

それと、この御守りの護符。――一度きりですが、本当に死ぬようなダメージを受けた時に、一命を繋ぎ止めてくれます。ただ、すぐにちゃんとした治療はしないとやっぱり危険ですから、頼りすぎてはなりません。」

「ありがとうございます。」

俊太郎は、弾んだ声で村霧を手に取った。師匠は深く頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。