日曜日後編 楽しい時間はあっという間だけど……。
「ねぇ、家の中ばっかりじゃなくて、ぱ~っと外に出ない?」
「え~、私はいっしょにゲームとかがいいんだけどな~」
普段の私の休日の過ごし方といえば、ゲームかアニメの一気見。
「たまには外で過ごすのもいいものだよ、とくに休日家からでない柚にはね」
「う~ん」
「シャルもいいと思うです、一緒に行きましょうユズキ!」
「ほら、シャルちゃんもこう言ってることだしさ」
「じゃ、じゃあ~」
「今度は三人でジョンの散歩にいきませんか?」
「えっ!? ジョンの散歩? 行く行く~」
めずらしくはしゃいでる里香。そういえば朝の散歩一緒に行きたかったって言ってたな~
「で、どこいくの?」
「行き当たりばったりでいいんじゃない、風の吹くまま、気のむくまま。な~んてね」
「フーテンの里香さんか」
「Oh~、フーテンってなんですか?」
「あ~、それはね……」
外出先でそのまま解散したほうがよさそうなので帰り支度をする、さいわい荷物といっても一日分、普段の教科書の入ったカバンと大差はない。
「「おじゃましました」」
「また、遊びにいらっしゃいね」
「ケイトさん、色々とお世話になりました」
「あの、朝ごはんおいしかったです、ありがとうございました」
「い~え~、どういたしまして~」
昨日私たちを迎えてくれた時と同じ優しい笑顔。
「ユズキ、リカ、行きましょう~」
「シャルちゃん、最初あたしがリード持ってもいい?」
「いいですよ!」
「あっ、次は私ね」
三人で交代しながらリードを持つことに、ジョンは決してひっぱたりせず、常にリードを持った人の横を歩いた、本当にできたわんちゃんだ。
最初にやってきたのは神社。私が本殿、ふたりがお狐さまをスケッチしたあの場所だ。
「そういえば柚が描いた絵、特選に選ばれてたね」
「自分でも驚いたよ~」
「ユズキ、とっても上手だったです」
「ありがとう~、シャルちゃん!」
あの日は、途中で雨が降ってきた、それでも絵を描き続けたせいで、体調をくずしてしまい、翌日は学校を休むはめに。その日に見た悪夢は、私にとってこれ以上ないくらいつらく悲しい物だった、今思い出しても涙があふれそうになる。優子お姉ちゃんが来てくれなかったら、どうなっていただろうか……。たぶん、不安と心細さで何も口にできず、風邪も長引いていたと思う。
……………………。
「お~い柚!」
「へ!? あ、あれ?」
「何ボ~っとしてんのさ」
「考えごとですか?」
それと、次の日にふたりが迎えに来てくれたのは、心のそこから嬉しかった。
「ううん、なんでもない」
せっかくなので、今日は前に来た時よりもずっと上の方までいってみることに。
「あっ、あれ見て! 天狐さまおみくじだって」
「へぇ~、こうゆうのもあるんだ」
「Oh~可愛いです」
手のひらサイズの白狐が巻物をくわえている。巻物の色は青、赤、黄、白、黒の5種類あるようだ。
「私はこの黒の巻物」
「あたしは~赤かな」
「シャルは青色にするです」
それぞれ好きな色を選んで購入し、巻物を開いた。
「今回は吉か~」
「あたし中吉~」
「Oh~シャルは大吉です」
「はぁ~、結局また私が一番運が悪いってことか~」
「まぁ~、あの時は凶だったんだし、だいぶ上がったじゃん」
「そういえばさ、吉と末吉、どっちが上なんだけ?」
「それは~、どっちだっけ? 調べてみるね、え~と、あれ、大吉の次が吉なんだって~」
「えっ、中吉じゃなくて?」
「場所によってちがうみたいだけど、基本的にはそうらしい、大吉はこれ以上あがらないから、吉が最も良いとされる、だって」
「じゃあ今回は、私が一番運が良いってこと?」
「そうなるね~」
「良かったですねユズキ」
「うん!」
最後はちゃんと参拝して、神社をあとにした。そして、次に私たちは公園にやって来た。
「あっ、ジェラートまだ売ってるみたい、里香何がいい? 今日は私がおごる」
「Oh~今日はシャルがおごりたいです」
以前一緒に来た時、私とシャルちゃんは里香におごってもらった。
「このまえのことなら気にしなくていいよ、あたしが勝手にやったことだし」
「そういうわけにはいかないよ~」
「いかないで~す」
「そう? じゃあ~、お言葉に甘えようかな」
というわけで里香の分は、私とシャルちゃんで半分づつ出し合う。時間帯が夕方だったこともあり、私たち以外ほとんど人はいなかった。
「それにしてもこのブランコ、こんなに小さかったっけ~」
「あたし、立ちこぎ好きだったな~、けっこうスピードでるんだよね」
「シャル、小さい頃は立ちこぎちょっと怖かったです」
「そうだったね」
「そういえばジョンは……。あれ何やってるんだろう?」
「ひらすら穴をほってるね、犬って、やっぱ穴ほりとか好きなのかな~」
「あれだね、たまにテレビでやってるおもしろアニマル特集みたい」
「あ~わかる」
「ジョン! おいで~」
シャルちゃんがフリスビーを見せながら呼ぶと、尻尾を振りながら駆け寄ってくる。
「ユズキ、投げてみてください」
「う、うん。いくよ~ジョン、それ!」
パシッ!
「すご~い、ナイスキャッチ!」
「あたしもやりたい!」
休日にこんな体を動かしたのは久しぶりだった。
「ちょっと休憩~」
「はや!?」
「ふぅ~、インドアの私にしては、がんばったほうだよ~」
「ユズキ、飲み物ありますよ」
「ありがと~、シャルちゃ~ん」
そして気がつくと、そろそろ帰った方がいいかもと思える時間帯に。休日がもうすぐ終わってしまう、そう思うとやっぱり切ない。
「はぁ~あ、明日からまた学校か~」
溜息混じりにそう言うと、
「Oh~、シャルは学校も好きですよ、ユズキとリカがいてくれます、一緒に学園生活が送れて、とても楽しいです」
シャルちゃんが笑顔で私に寄りかかる。
「あたしも、すごく楽しい。柚はちがうの?」
反対側から里香も寄りかかってくる。
「も、もちろん私も楽しいよ~」
授業とかはあれだけど、でも、一つだけ確かなことは……。
「じゃあ、そろそろ帰ろっか?」
「待って~、もうちょっとだけこうしてたい」
「Oh~シャルも」
「しょうがないな~」
ふたりが一緒なら、これから先も楽しいことの方が多いはずってこと。
ここまで読んでいただいてありがとうございます!
物語はここで一区切りつきましたが、今後も学校行事や夏休みなど、
○○編という形で連載を続けます、なので完結扱いにはしません。
ただストックがなくなったので、今後の投稿は不定期になります。
加えて私は、執筆速度かなり遅いです。
別サイト『ノベルアップ+』では挿絵コーナーも作っています!
※こちらでも同じように投稿しておりましたが、あまり閲覧されておらず、
『小説家になろう』では本編のみの投稿にしました。




