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15/18

日曜日前編 そういえばお泊り会をやるきっかけはコレだった~

「んっ、う~~ん、はぁ~」

「おはよう柚!」

「Good morning ユズキ!」


 朝、目が覚めたら、ふたりはすでに起きていた。


「あ~~里香~、シャルちゃん、おはよ~」


 まだ頭がボ~っとしている。


「あ~~じゃないよ、何時だと思ってんの?」

「え~っと、あっ、まだ九時か~」

「もう九時だよ! ほ~ら、また寝ようとしないの~」

「はぅ~、もうちょっと、もうちょっとだけ~」


 あいかわらず朝に弱い。


「リカ、もう少しだけ寝かせてあげませんか?」

「シャルちゃん、柚に甘すぎ~」

「ふふっ、リカもそうじゃないですか?」

「まぁ、否定できないかもね」


 私がこんな様子だから、ふたりは一足先に朝食をすませることに。


「あら、ユズキちゃんはどうしたの?」

「柚季は朝がすごく弱くて、まだ寝てるんです」

「あら、そうなの~、じゃあ無理に起こすのはかわいそうね」


 ───朝食をすませた後。


「あの~ケイトさん、キッチンお借りしていいですか? 柚季が起きた時、何か軽く食べれるもの用意してあげたくて」

「リカちゃん優しいのね~、もちろんいいわよ」

「ありがとうございます」

「リカちゃん、食パンあるけど、サンドイッチなんてどうかしら?」

「いいですね」


 里香は、どっかのお寝坊さんのために、簡単な朝ごはんを用意した。その後、ちゃんと目が覚めたのは十時を少し過ぎた頃だった。


「ふぁ~~、あれっ、一時間くらい二度寝しちゃったのか~」

「ようやくお目覚めですか、眠り姫様」

「あっ、里香~」


グゥ~~


「はっ!? うぅ~」

「お腹すいた?」

「う、うん、ちょっと……」

「はいこれ、サンドイッチ作っといたよ」

「わぁ~、おいしそう」

「おかずはケイトさんが用意してくれたよ、後でちゃんとお礼いっておきな」

「わかった、里香もありがとうね!」


 なんだかんだいって、いつも優しい。


「そういえば、シャルちゃんは?」

「シャルちゃんならジョンの散歩、日曜日はシャルちゃんが連れていくんだって。はぁ~あ、柚が起きてたら三人でいこうと思ったのに~」


 里香は一緒に行きたかったみたい、ちょっと残念そう。


「なんでいかなかったの?」

「柚が起きたとき、あたしもシャルちゃんもいなかったら困ると思って……」

「あっ、そうだったんだ、なんかごめんね」


 自分がやりたいと思うことより、私の心配をしてくれる里香。なんだか里香に悪いことしちゃった。


 二十分くらい経ってシャルちゃんが帰ってきた。


「ただいまで~す」

「「おかえり~」」

「シャルちゃんも帰ってきたし、これからどうしようか~」

「おすすめのアニメいくつか選んできたんだけど、一緒に見ない?」

「どんなのがある?」

「え~っと面白い系、感動系、どれがいい?」


 色々ある中目に止まったのは、部活バンドが社会現象にもなったあのアニメ。


「あっ、これ知ってる~」

「シャルも見てたです」

「けどさ柚、このパッケージ、何話?」

「これは劇場版だけど~」

「劇場版あったの?」

「あれ、劇場版は見たことない? みんなが卒業旅行で海外に行く話だよ」

「見たことない」

「シャルもないです」

「じゃあ、これで決まりね!」


 ふたりとも本編までしか見てなかったみたい。そうと決まれば、さっそく鑑賞会。


「あっ、ちょっと待っててください!」


 と思ったら、シャルちゃんが何かを思い出したかように部屋の外に。


「あれ、どうしたんだろう?」


 数分後、シャルちゃんが戻ってきた、手には何かの箱が握られていた。


「そ、それは、GODIVAのチョコ!」


 そう、何を隠そう、今回のお泊り会をやるきっかけとなったのがこのチョコ、私がほんの冗談でGODIVAのチョコなら許す、そう言ったことが始まりだった。


「本当は昨日出すつもりだったですが~」

「ですが?」

「昨日のディナーにチョコのパイがあったので、明日のほうがいいかと思ったです」

「なるほどね、まったく誰が具材にチョコなんか選んで……」

「それ柚でしょ、なんか忘れてそうって思ってたけど……。本当に忘れてたの?」

「そ、そんなわけ……」

「まあまあ、それよりこのホワイトとてもおいしいですよ、おすすめで~す」

「確かにどうでもいいか~、じゃあそのホワイトいただき、ん~さいこう!」

「ずる~い、じゃあ私はコレ。う~~ん、おいし~い!」


 あらためて、鑑賞会スタート。


「海外か~、いつか三人で行けたらいいね~」

「だね~、けど言葉が通じないって、なんか怖くない?」

「まぁ通訳できる人が一緒なら心強いね」

「優子お姉ちゃん、確か準一級もってたはずだよ」

「優子先生に同行頼むの?」

「やっぱ、忙しいかな~」

「Have you forgotten that I'm from America? If you need interpretation, leave it to me!」

「あっ! そうだよ~、シャルちゃんが一緒なら大丈夫じゃん」


 普段から日本語で会話してたから、すっかり忘れていた、こんなに身近にネイティブスピーカーがいることを。


「ちなみにさっきの、なんていってたの?」

「シャルがアメリカ出身ってこと忘れてないですか? 通訳ならシャルにまかせてください!」

「お~、これは心強い」


 日本国内で学んだ英語と、ネイティブとではわけがちがう、リアルな日常会話は実際にその国に住んでみないと中々身につかないものだ。そういえば、私っていつのまにこんなに日本語おぼえたのだろうか。


 そのころ、アニメの方は入国審査のシーン。


「sightseeing! いつか旅行に行く時のために覚えとかないと」

「ふふっ、ドヤ顔でサイドビジネスって」

「めっちゃ堂々と間違ってるんだよね」


 やっぱりこのシーンおもしろい。


「あっ、ここ! 特にお気に入りのシーン」

「なにこのコントみたいなやりとり」


 まるで絵にかいたようなすれちがい。先輩がいないことに気づいた後輩が隣の部屋を訪ねると、ちょうどそのタイミングで部屋に戻る先輩。


『先輩知りませんか?』

『たった今戻ったよ』

『あっ、そうですか』


 そして、後輩が部屋に戻るタイミングで、


『後輩ちゃんがいない!』


 と今度は先輩の方があせって隣にやってくる。


『たったいま来たよ』


 これを二、三週ほど繰り返すシーン。そして最後には、


『大変だよ、後輩ちゃんがいないんだよ』


 って後輩ちゃん本人に言っちゃう始末。


『あっ、いるじゃん!』


 こういうコント探したらありそうな気がする。


「最初見た時、めっちゃ笑った」


 その後も五人の楽しそうな様子や、演奏シーンがたくさん描かれていた。最後の方は、ちょっぴり切ない感じ。


「劇場版って、最終回の少し前のエピソードだったんだ」

「Oh~あの歌はこうやってできたですね」

「そう、先輩たちが後輩に送る曲をないしょで作る、その過程の話でもあるんだよ」

「最終回の『あんまりうまくないですね』にはやられたよね」

「あれはエモいよ」


 良い作品は何度見てもやっぱり良い、そう思った。

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