土曜日中編 この味を知ったら、もう他は食べられない……かも?
「なんかゲームしよ~」
「何もってきたの?」
「色々あるよ~」
「ユズキ、これ何ですか?」
「おっ! シャルちゃんそれ興味ある?」
「はい、電車のゲームですか?」
色々持ってきた中で、シャルちゃんが興味を示したのは、とある電鉄のゲーム。
「電車で日本を回るすごろくみたいなゲームかな、目的地を決めて、誰が最初にゴールできるか競争するんだ、けど、たくさんゴールすれば勝ちってわけじゃないんだよ」
「Oh~どういうことですか?」
「このゲームの最大の目的は、ずばり資産を増やすこと! プレイヤーはお金を増やしたり、時には失ったりして、最終的に最も資産を持っているプレイヤーの勝ち!」
「リカはやったことありますか?」
「うん、けっこうおもしろいよ、途中いろんなイベントがあったり、カードを使って他のプレイヤーを妨害したりしてね」
「なんだかおもしろそうです、やってみたいです」
シャルちゃんが興味を持ってくれたみたい。
「じゃあ、試しに三年やってみようか、シャルちゃんVS里香、COMは最初だから一番弱いのでいいね」
「最初は柚が一緒にやったら?」
「だね、じゃあ私がサポート役、いわばシャルちゃんの秘書」
「ユズキ、色々教えてください!」
「おまかせを~」
順番は里香、シャルちゃん、COMの順で。それじゃあゲームスタート、最初の目的地は青森。各駅の説明をしながら、進めていく。
「青はお金がもらえて、赤は逆に取られるよ」
「じゃあ~青のところに行くです」
最初だから、シャルちゃんにゴールさせてあげることに。
「Oh~、青森に着きました~、援助金二億円!? すごいです」
「初ゴールおめでとう! あっ、見てて、ゴールから一番遠いCOMがどうなるか」
そう、だれかがゴールすれば、あいつがやってくる。
「Oh~なんか変なのが、電車の後ろにいます」
「あれはプレイヤーの邪魔をするキャラ、ペナルティってやつだね」
COMは、くじ引きを強制的にやらされ参加費を取られた、しかもはずれで肝心のカードは貰えず。
「うわ~、お金だけ取られちゃってる~」
「お金は戻ってこないですか?」
「あくまで参加費だからね、当たっても、はずれても返ってこないよ」
その後も、物件をかってに売られたり、財布を落としたり。
「なんか可哀想になってきたです」
「シャルちゃんもゴールから一番遠かったら、あれが付いちゃうんだよ~」
「が、がんばるです」
「でも安心してね、シャルちゃんには、優秀な秘書がついてるから」
「じぶんでいうか~」
「いいじゃん、というわけだから里香、ここからは本気でやっていいよ」
シャルちゃんが一通りの流れを理解したようなので、ここからは様子を見つつ、求められたらアドバイスした。そして、最後の一年、ついに邪魔者があの最も恐ろしい姿に。
「おっ、ついにきたね~」
「ユズキ、なんか、すごい大きいのになったです」
「あれはこのゲームでいっちばんやっかいなやつ。これまでの悪行が可愛いイタズラに思えてくるよ、見ててごらん」
ちなみに、付いてるのはCOMだ。持ってるカードをすべて捨てられたり、借金するほどのお金を取られたり、サイコロを破壊されて動けなくなったり、もう踏んだりけったりだ。
「あわわ~、恐ろしすぎです~」
「ねっ、すごいでしょ、自分につくと最悪だけど、他の人についてると笑えるよね~いいぞ~、もっとやれやれ、そのまま故郷に連れてっちゃえ~」
「お~い、柚のブラックな部分が顔を出してるよ~、いいのか~」
「あ、やばっ」
「ユズキ、いじわるです」
「あっ、いや、これはその、ちが……」
「Sorry、冗談です」
「もう~、シャルちゃ~ん、嫌われたらどうしようかと思ったよ~」
「Don't worry、シャルはユズキを嫌ったりしないですよ」
トントントン
「パイが焼きあがったわよ~、そろそろご飯にしましょう」
ケイトさんが呼びに来た。
「今いくです! ユズキ、リカ、行きましょう」
「いよいよだ~、すごい楽しみ」
「あたしも~」
キッチンに行くと、いっしょに作ったパイの他に、フライドチキンやマカロニサラダ、ミネストローネなどが用意されていた。
「うわ~、すご~い!」
「いいにおい~、どれもすごくおいしそ~」
「さぁ~、三人ともすわって、冷めないうちにどうぞ~」
「「「いただきま~す!」」」
これだけあると、どれから食べようか迷っちゃう。
「最初はどれにしようかな~」
「あたしはトマトチーズにしよ~」
「シャルはソーセージにします」
「じゃあ~私はこれ! ミートパイ」
各々最初の一つを選んで頬張った。
「「おいし~~!」」
「これが出来たてか~、サクサクしてる~」
「ユズキちゃん、はじめての出来たてはどう?」
「すっごくおいしいです、最高です~」
「ふふっ、よかった」
ミニだから手軽に色んな味が楽しめる。
「柚、こっちのもおいしいよ」
「えっ、どれどれ~」
「ほれ、ツナチーズ食べてみ」
「ん、ん~ふ~」
はじめはおかず系を中心に、その後にデザート系。ただ気をつけないと食べすぎちゃいそう、それくらいおいしかった。
「「「ごちそうさまでした!」」」
「あ~満足、もう他の所のパイは食べられないよ~」
「うん、確かに」
「あら~ありがとう、喜んでもらえてよかったわ」
食後、後片付けはみんなで行った。そして部屋に戻ると、
「シャル、さっきのゲームもっとやりたいです」
「じゃあ~、次は私と勝負しようか~」
「Oh~お手柔らかにお願いしたいで~す」
シャルちゃん、結構はまっちゃたみたい。
「次はシャルちゃんがCOM選んでみる?」
「はい、え~っと、この人とかどうですか?」
「その人はやばいよ~、鉄人はシリーズ最強のCOMキャラ」
「そんなに強いですか?」
「うん、私もほとんど勝てたことない、もうコテンパン!」
「ユズキがあまり勝てない相手ですか~、やめとくです」
というわけで、ここは順当にさっきのCOMより一段階強いキャラにした。
「中々奥が深いんだよね~、このゲームって、私もまだまだすべてを理解してるとはいえないんだ~」
「そうなんですか?」
「カードの種類や物件の数がすごいからね、ちなみに最高額の物件はいくらでしょう?」
「え~と、百億円くらいですか?」
三年くらい遊んでみた後だと、そのくらいだと思うよね。
「ちなみに里香は知ってたっけ?」
「そういうのがあるって聞いたことはあるけど、もう少し高かったような~」
「岡山にあるテーマパークの物件なんだけどね、そのお値段、なんと十兆円!」
「「十兆円!?」」
「驚いた?」
「そ、そんな高額な物件、本当に買えるですか?」
「三年やそこらじゃ~、ムリだね、九十年以上は必要かも」
「あたし最高十年くらいは、やったことあるけど……。どれくらいかかるの?」
「一日ちょっとあればできるよ~」
「さらっと、とんでもないこといっちゃたよ」
「ユズキは買ったことあるですか?」
「もちろん!」
「す、すごいです」
「マジで!? 一日ぶっ通しでやったの?」
「さすがにセーブして、何日かにわけたよ~」
「だよね、いや、柚の集中力なら、ありえない話じゃないと思ったから」
「やだな~、そんなわけないじゃ~ん」
「さ、さすがにね~」
「……できなくはないけど」
「や、やめとけ~」
トントントン
「三人ともお風呂の準備できてるから、好きなタイミングで入っちゃって! あんまり遅くなりすぎないようにね~」
「「「は~い!」」」
「じゃあ、この決着がついたら、一旦お風呂にしよう」
「そうだね」
そういうわけで、切が良い所で一旦ゲームを止めてお風呂場へ向かった。シャルちゃんの希望もあって三人一緒に。




