君だよ。君。
「玉木さん今日も来ないね……」
「うん……」
彼女は急に屋上に来なくなった。
「まあ、あんなの見たら無理かもね…」
「そんなもの?」
「うん……」
三枝さんには彼女の気持ちがよくわかる。
ということだろう。
「佐藤君、彼女に会いに行こうよ」
「え?」
三枝さんの言葉に固まる。
「なんで?」
「だって彼女きっと待ってるよ?」
「誰を?」
「君をだよ」
「え?」
なんで僕?好きな人じゃないの?
「君は彼女が心を許した唯一の男性だよ?きっと彼女にとって大きな存在だよ!」
出た。
三枝さんのなぞ理論。
「だとしても僕、彼女の家は……」
「私知ってます」
「え?なんで一ノ瀬さん知ってるの?」
「実は前に相談しに行った時があるんです…」
相談……
それで何となく想像はつく。
「分かったよ。今日の放課後みんなで行こ」
「うん!」
そうして放課後。
「ほらインターホン押して?」
「なんで僕なの?」
「え?代表みたいなものじゃん」
いつ僕が代表になったんだ?
「あ、あなたたち……」
「え、玉木さん?」
そこには部屋着と思われる服装で立っている彼女がいた。
手にはコンビニ袋があった。
「なんでここに……」
「えっと……」
そういえば、何を言いに来たんだ?
そんな僕の代弁をするように三枝さんが告げる。
「戻ってきて!」
「え?」
「ほら、佐藤君も!」
僕は背中を押されて前に出る。
「えっと、玉木さん……協力もういいの?」
「……ええ…あんなもの遊びよ…」
そう言う彼女の手は強く握られていた。
「遊びだったなら…もっと遊ばない?」
「は?何言ってるの?」
「うん……何言ってるんだろうね?」
「いや、あなたが言ったことよ?」
「うん……多分本音だよ。僕の……みんなの」
「え?」
そうだ。確かに玉木さんとは協力関係だった。
でも確かに楽しかった。
それが残っている。
消えない。
「確かに目的はなくなったかもしれない。でもその過程で発生した。友達というものがね」
「友達……」
「うん。君の慰めにはならないかもしれない。だけど、身勝手に捨てさせないよ?僕たちは友達だからね?」
「佐藤君……」
彼女は少し視線を下に向ける。
「ふふ、あなたらしくないわね?」
「ああ、ほんと誰かさんのせいだよ……」
「え、誰のことなの?」
君だよ。君。
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