そこは祈るしかないね。三枝さんの食欲に理性が勝っていることを
「さあ、張り切っていこう!」
三枝さんはもう何か食べる気なのかよだれが少し垂れている。
汚い…
「あの子、デートだってわかってるの?」
「そこは祈るしかないね。三枝さんの食欲に理性が勝っていることを」
「……それは分の悪い賭けではないの?」
「……かもね…」
まあ、三枝さんだから。
「まずはどこに行こうか?」
「そうね。映画でも……」
「フードコートだよ!」
出たよ……
「三枝さん、今は十時。まだ昼じゃないよ?」
「お昼前の腹ごしらえだよ!」
「正気なの?」
「ああ、これが三枝さんクオリティーだよ…」
「さあ、行くよ!」
「え?ちょっと!」
強引に引っ張られて連れていかれる。
「ほら佐藤君!あれ!」
「え、クレープ?普通お昼の後じゃ……」
「ち、ち、ち。甘いね?甘々だよ」
「……この子、何言ってるの?」
「僕に聞かないでよ…」
三枝さんの考えなんて読めるはずないだろ?
あの暴食モンスター三枝だよ?
「ほら佐藤君今日はデートなんだから三人分奢って!」
「えー」
なんでこんな時だけデートを出すんだよ。
卑怯だ。
「お願いね?」
「はあ、分かったよ……」
二人に言われるとさすがに僕の負けだ。
そうして三人分のクレープを奢る。
「うーん!美味しい!」
「……なかなかね」
「そりゃよかったよ……」
僕の財布は何も嬉しくないけどね?
「さてじゃあ、映画に…」
「次はたい焼きだよ!」
「「え?」」
昼前の腹ごしらえは終わったんじゃないの?
「まだ食べるの?」
「あったり前!昼に備えて食べておかないと!」
「そこは普通食べないものじゃないのかしら……」
三枝さんには常識が通用しないと改めて知らされた。
そうして、結局お昼まで食べ歩きになった。
「も、もう食べられない……」
「私も限界よ…」
「もう、二人とも早いよ?」
三枝さんがおかしいだけだ。
絶対に。
「さあ、いよいよお昼だよ!」
「僕は遠慮しておくよ…」
「私もいいわ……」
「そう?」
本当三枝さんのおなかはどうなっているんだ?
太っているようには見えないし。
どこに栄養行ってるのか…
「あ、うどんだ!私買ってくるね!」
猛スピードで買いに行く三枝さん。
その後ろ姿は呆れるほど純粋な馬鹿さ加減で安心した。
「あなたそんな顔もできるのね?」
「え?どんな顔?」
「自覚がないのね?」
「??」
そう言えばさっき僕どんな表情してたのかな?
分からないや……
「笑ってたのよ」
「そうなの?」
「ええ、とても暖かみのある笑顔だったわ」
「ふーん」
さすがにこれだけばかげた状況でなんだか安心したのかな?
「はあ、分かってないのね?」
「??」
「まあ、いいわ。今日は合格よ」
「え?なんかやった?」
「まあ、分からないのならいいのよ」
「??」
今一つ不明だったが、とにかく合格ならいいか……
「見て見て!とり天おいしそうでしょ!」
本当に君はどこまで食に脳を支配されているの?
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