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負けヒロインの別れ話の現場を目撃したら懐かれて困っています。  作者: 雨夜 フレ


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20/25

ただ立っているだけだった。

「とにかくあなたの任務は私にどうにかアピールすることよ」


アピールね………


高難易度である。


それに僕にはやらないといけないことがある。

僕は一ノ瀬さんを見つめる?


「??」


彼女は困惑している。

それをみると少し怖くなる。

だが、やらないといけない…………

それが彼女のためでも僕のためでもある。


「まあ、とにかく考えておくよ」

「まあ、いいわ」


そう言ってその日は解散になった。


帰り道。


「ねえ、佐藤くんうどん食べない?」

「うどん?」

「また急だね?」

「急じゃないよ。彼らはツルツルだよ?」


そっちの話ではない。


「そうだね。良さそうだけど遠慮しておくよ」

「なんで?美味しいのに?なんで?」


二回いう必要ある?


「僕これから一ノ瀬さんと用事あるから」


「え?」


一ノ瀬さんは呆気に取られていた。


「そうなの?」

「ああ、だからうどんはまた今度だね」

「うどん………」



そごでうどんの口だったのか……


「とにかく僕たちは用事あるからまたね」


そうして彼女と別れて僕たちは公園に来ていた。


「お兄ちゃん用事ってなんですか?」


僕は少し視線を彷徨わせて告げる。


「別れよう」

「え?」


突然のことだ。

彼女は準備ができてなかったのだろう。

固まっている。


「何言ってるの?」

「…………」


彼女は焦っている。

それもそうだろう。

わかっていたことだ。


「まだ、私………」


「満足していないんでしょ?」


「!?」


彼女は少し身を引く。


「気づいたんだ。これは少なくても僕たちの恋じゃない」


「どういうことですか?」


僕は息を浅く吐き告げる。


「君は振られた三木くんの後ろ姿を追っている。

僕は分からないままただ盲目に恋愛をしている」


「………」


彼女は気づいていたはずだ。じゃなければ進展があったはずだ。できなかったのは気づいていたからだ。


「君が僕に抱くのはあくまで兄妹としての好きだ。それ以上は彼、三木くんにかしかない」


「そ、そんなことは………」


ないとは言えない。

それもそうだろう。


「そして、僕は君のことを妹として好きだ。でも好きの種類は増えてないし。君との時間は妹ととして以外は好きではない」


「つまり………」


「ああ、初めから破綻してたんだよ………」


そう、初めから。


「いいじゃないですか………破綻してても」


彼女は分かっているはずだ。

でも、納得はしていない。


「破綻してるのは問題じゃないんだよ」


「え?」


そう破綻は問題じゃない。

そうじゃないんだ。


「このままいけば僕も君もいずれ気づく」


「何にですか?」


「破滅が待ってるってことに」



彼女は静かに目を大きく見開く。

それは意識の再認識だ。

分かっていたことだ。

でも、指摘されて再度認識する。

それは大きく僕と彼女に刻み込まれる。


「ごめんなさい………」


「いいんだ。君は君なりに懸命だった」


振られながらそれをどうにかするために選んだ苦肉の策だ。


僕はそんな彼女を責められない。


「うっ、う」


嗚咽が公園に響く。


ただ、見ていることしかできない僕。


「僕は……………」



無力さは僕を責め立てる。

ただ、出る言葉は言い訳しかない。

それが余計に惨めで悲しくて。

だからこそ僕を駆立てる。


彼女な頭を撫でる。


「破綻してても正常じゃなくても恋人じゃなくてもいいでしょ?これくらいはさ」


「う、う。お兄ちゃん!!」


抱きつく彼女を強くは抱きしめない。

ただ立っているだけだった。


読んでいただき、ありがとうございます。

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