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負けヒロインの別れ話の現場を目撃したら懐かれて困っています。  作者: 雨夜 フレ


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17/25

その関係は、もう後戻りできなかった。

「手伝うって、どういうことなの?」

「……さっきの話聞いてたよね?」

「う、うん」

「私ど同性が好きなの」


ですよね……

会話の内容的にそうだと思ってたけどやはりか……


「で、好きな人にさっき振られた」

「はい……」

「で、私は考えたの」

「は、はあ」

「せめて好きな人と同じように同じ人を好きになりたいって」

「は?」


なんか一瞬で吹っ飛んだ理論に到達してない?


「だから、男性を好きになるためにあなたに手伝ってほしいの」

「い、いや、なんで僕?」

「……本気で誰かを好きになったこと、ないでしょ?」


そんなことは、ない……はずだ。

僕には一ノ瀬さんがいるし。

だが……いや、やめよう。

僕は意識を切り替える。


「というか無理に変えなくても…」

「綺麗事はやめてよ。この世界じゃあどうあっても私は異物。なら正常に戻ろうとしているんだからいいじゃない」

「正常なんて人によって書き換えられるものだよ」

「……そんなの知ってるわよ…」


正常……

僕にはそんなものは正常には見えない……


「嫌だと言ったら?」

「あの子にあなたのそのいい加減な人間性をばらすわ」


三枝さんを指さす。


「え?私がどうしたの?」


彼女は困惑していた。

会話はよく聞こえてないみたいだ。


「人間性って。なんのこと?」


そんなものはない。


「もう一人と付き合ってるんでしょ?」

「!?」

「ふふ、なんでわかったって顔ね?」


彼女は静かに告げる。


「私は同性愛者だから、こういうのは敏感になってるのよ」


だが……


「いいよ、」


別に知られても僕の人間性がどうだなんて……


「いいの?」

「なにが?」

「もう彼女とは一緒にいれないわよ?」

「……なんで?」

「あなたは恋人を愛していない」

「そんな、ことはあるわけ……」


そうなはずだ……

そう、なんだ。

きっと。

たしかに。

絶対。

特別で。

大切で。

きっと。

きっと。

……きっと。


「……言い聞かせてる。あなたも異常ね?」

「!?」


僕が異常?

僕は……


「まあ、そんなあなたを知れば彼女はあなたのもとを去るわ」


そんなことは大した問題では……ないはず。


……だめだ。


僕はこの屋上で彼女と確かに何かでつながった。


こんなとこで切れていいものなんかじゃないはずだ。


すでに口から言葉が出ていた。


「……分かった」

「よろしくね?」


それだけ言って彼女は去っていく。


「お兄ちゃんなんで言うこと聞くことにしたんですか!?」

「そうだよ!佐藤君」


なんでか……


僕は三枝さんの顔を見る。

彼女は首を傾げていた。

その顔がアホみたいで面白かった。


「君が君だからかな……」

「「??」」


その彼なりの答えは二人には分からなかった。



その関係は、もう後戻りできなかった。


読んでいただき、ありがとうございます。

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