彼女は少し泣きそうだった。
「ちょ、ちょっと、どういうこと?」
三枝さんは興奮気味に問い詰める。
「ピンと来たんです!」
彼女は手大きく広げ空を見上げて告げる。
「この人こそ私の運命の相手でありお兄ちゃんだと!」
やばい子に捕まったかも……
早急に対処しなくちゃいけない。
「あ、あのさ。勘違いじゃないかな?」
「いえ、真理です!」
真理か……じゃあ仕方ないのか……
「さっきの人はいいの?」
三枝さんが核心をつく。
「……いいんです」
僕には自分に言い聞かしているようにしか見えないが…
「無理はよくないよ?男のもとに帰りな」
三枝さん……もはや遠慮がない。
「嫌です!」
そう言って僕の腕に掴まってくる。
「ちょっと!」
三枝さんは引き離そうと彼女を引っ張る。
だが彼女はタコのようにくっついて離れない。
「佐藤君も手伝って!」
「えー」
無理でしょ……
とりあえず腕を振ってみるが懸命に引っ付いていて離れない。
うん。無理だね。
「なんかいい加減じゃない?まさか、抱き着かれて喜んでる?」
ギロっと恐ろしい目を向けらる。
「そ、そんなわけないよ」
「じーーーー」
確かに彼女は小柄にしては胸が大きくて素晴らしいけどそれとこれとは……
「佐藤君」
「はーわかったよ」
僕は最終手段を発動する。
「ほーら飴だよ」
僕は少し離れた位置に飴を投げる。
さえ菓子大活躍だ。
「「わーい」」
二人とも飴を拾いに駆け出す。
いや、三枝さんはやめてよ……
まあ、とにかく彼女が子供みたいで助かった。
「これは私にくれた飴ですよ!」
「いいや、落ちているものはすべてみんなに平等だよ!」
君たちはいったい何してるんだ……
「ほら、もう一個上げるから仲良くね?」
「「わーい」」
もう動物園の気分だった。
それから彼女は僕がいる場所に現れては僕に好意を伝えてきていた。
「あいつ寝とったらしいぜ?」
「鬼畜ね……」
なんか変な噂が立っている。
どうも彼女とあの男は有名だったらしく僕は彼から彼女を寝取った男として有名になっていた。
「あのね、一ノ瀬さん」
「はい?」
「何してるの?」
「膝枕ですが?」
うん。知ってる。
でも……
「ふつう逆じゃない?」
僕は今、屋上で彼女を膝枕をしていた
「そうですか?」
「そうだよ。私が代わりにしてあげるからそこどこうか?」
「いやでーす!」
彼女は一層強く僕の膝に頭を置く。
「あのね。その人はつまらないでしょ?もういい加減離れたら?」
人の食べ物を強奪するような女に言われると説得力が違うな。
「ふん!そう言って私をお兄ちゃんから離す作戦ですね!そうはいきません!」
「ふーん。いいんだ」
「??」
彼女は僕を見てニヤッと笑う。
「彼、ロリコンで鬼畜だよ?」
「は?」
こら、普通に嘘を教えるな。
「いえ、優しくて紳士です」
どこにそんな人がいるんだろう……
「それにそれならそれで……ぽ」
彼女は少し赤くなる。
「「え?」」
いいのか!?
僕の中で激しく何かが燃え上がった気がした。
ドン!
「瑠璃!」
有名な彼がドアを勢いよく開け入ってくる。
なんか見たことある光景のような…
「お前!」
僕は胸ぐらをつかまれる。
あー懐かしいな……
「お前が瑠璃をたぶらかしたのか!」
「違います」
僕は真正面から否定しておく。
「そうです!違います。私から告白して付き合ってます!」
「「は?」」
僕と三枝さんは初耳だった。
付き合ってたのか、僕は………
「瑠璃、もっと自分を大切にだな……」
「お兄ちゃんには関係ありません!」
「そんなことは………」
ないとは言えないだろうな。
「分かった……けどもし何かあったら俺はそいつを許さない」
僕を強く睨んで去っていく。
「ちょっと、どう言うこと!」
「お、落ち着いて三枝さん!」
三枝さんは僕を激しく揺らしながら問い詰める。
「落ち着いてなんていられないよ!いつ告白されたの!?」
彼女は少し泣きそうだった。
僕が泣きたいよ。
「いや、されてないから」
「え、そうなの?」
やっと揺れが収まる。
「うん」
「じゃあ、なんであんなこと言ったの」
三枝さんは一ノ瀬さんに向かって聞く。
「うーん」
彼女は考えていたがやがて諦める。
「つい勢いで、てへ♪」
やられた。
こうして僕は彼女によって完全に寝とり男にされたのだった、
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