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負けヒロインの別れ話の現場を目撃したら懐かれて困っています。  作者: 雨夜 フレ


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10/25

空は青く平行線上だ。 澄み渡っていてみんなに平等だ。きっと僕にも彼女にも。

あの日から時間は戻った。

いや、正しくは時間は進んでいる。

僕が戻っただけだ。


僕は一人静かに屋上に行く。

前と同じ。

何も変わらない。


ただ彼女がいないだけだ。

それだけなのだ。


だけど、それは確かな存在だった。

名前のない妙な関係だった。


元に戻った今でも分からない。

何て言うのかなあれは。


僕には答えがなかった。



僕は前と同じく校庭を眺める。

そこにはたくさんの人がいる。

たった一人ではない。


そう変わりなどたくさんある。

そのはずなのだ。



「ほんと、いなくても食いしん坊だな……」


彼女は食べた。

僕の感情も記憶も。

そうして侵食してきた。


太陽が僕を強く攻め立て、照らす。

僕はそれに少し気が滅入り物陰に移動する。


そうして元通り一人で昼食を食べようとしていた。

するとドアが開く音がして人が入ってくる。


状況は全く一緒だった。


同じ場所。

同じ天気。

同じ人物たち。



「春香……お前から呼び出すなんてどうしたんだ……」


彼は少しやつれていた。


「大我に言わなきゃいけないと思ったから」

「何を?……」


彼女は堂々と胸を張って告げる。


「私はあなたを許さない」

「……」


彼は少し呆気に取られていた。

だがすぐに静かに返事する。


「知ってる……」


彼は少し視線を彼女からずらして告げる。

そんな彼を見て続ける。


「でも」


彼女は視線を物陰に向ける。


「私は、もういいの……」


雲は太陽を隠し、あたりは暗くなる。


「春香?」


彼女は少し低い声で告げた。


「私の心は治らないし傷はあるまま。でも、それはきっと埋まらない……埋められない」


彼はただ物悲しそうに彼女を見つめる。


「それでも、決めたの」

「決めた?……」

「うん」


彼女は大きな声で言う。


「次に行く!」


空は雲が流れ太陽がパッと明るく顔を出す。


その景色は目が離せなかった。

不思議なことにその景色からは匂いがした。

暖かくて安心する太陽の匂いだ。


「だからあなたも考えて進んでほしい。それが元カノからのあなたへの最後のお願い」

「……」


彼は何も言わない下を向いているため表情は見えなかったけど…


彼の手は確かに強く握られていた。


「私は甘かった……」


後悔するように懐かしむように告げる。


「だから彼はあなたに、彼女に、そして私に怒った……」


浅く息を吐き続ける。


「本当は彼に謝りたい。でも彼はきっと向き合ってはくれない。だから。私から言うの」


一息おいて告げる。


「ごめんねって」


彼は静かに頷く。


「そうか…分かった……頑張れよ」


物陰に告げて去っていく。


空は青く平行線上だ。

澄み渡っていてみんなに平等だ。

きっと僕にも彼女にも。


はあ、本当に三枝さんは強引だ……

逃げないつもりだったのに……


彼女は強引に速やかに逃げ場をふさぐ。


僕は物陰から告げる。


「いいよ」


ただ一言告げる。


だけど彼女は満足そうに笑って物陰に告げる。


「また奢ってね」


僕は少し言い淀みながら言う。


「いいよ……君になら」


その言葉に返事は一言。

でも物陰から彼女の表情は見えない。


「変なの」


ただそれだけ。


でも、その言葉だけで十分だ。















読んでいただき、ありがとうございます。

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