復讐する事が当たり前の美学
訳もなく苛立つ。
自分の中で、消化されない怒りがある。
どうして、なのか。
この思いに、答えはあるのか。
「できるものなら、やってみろ」
吐夢は、見下ろす。
離れた所にあった。
仙台空港。
まさか、この近くに、研究所があるなんて、誰も気が付かないだろう。
そう誰かが、言っていた。
「普通、気がつくで」
アクセスのいい所。
「これを知ったら、どうする?」
平和ボケした、九尾狐。
颯太。
自分が、どんなに願っても、手に入れる事ができなかったもの。
全て、手にしている。
家族の絆。
母だと慕っていた人も、結局、別の人だった。
自分の家族は、もういない。
忌まわしい実験の犠牲になった。
結局、自分の首を絞める事になった。
半世紀以上、経過して。
「苦しめばいい」
自分だけじゃない多くの人が、犠牲になった。
南海に沈んだ船の情報を得た時は、歓喜した。
爆発し、
海上を通過した漁船が、巻き込まれた。
感染した人を救い、更に感染する負の方程式。
感染者は、病院と言う、人の集まる拠点に運ばれ、
更に感染する。
医師や看護師。
その家族。
様々なエッセンシャルワーカーによって、南から、北へと拡大する。
思った以上だった。
「これから、どうする?」
自分に問う。
「それは、もちろん」
この国を、歴史から消す。
自分の血脈の上に、成り立った国。
もはや、半分は、他国の兵士に占領されている。
戦える訳ではない。
治療法もワクチンもなく、
感染は、更に増悪になり、
誰も、いなくなる。
「全て、消えてしまえ」
破壊は、止めない。
自分の身が、消えて無くなるまで、
破壊尽くす。
何度でも、
生まれ変わる能力があるのだから。
吐夢が、向かう研究所の前に、
1人、立っている姿を見つけた。
「何だよ・・・あいつ」
颯太だった。




