誰かの為に復讐すると言う事は
事態は、少しずつ、動いていく。
こんな状況になって、
ぼんやりとしている国でもなかった。
感染は、どこからなのか。
どこが、仕組んで、
侵略される身になったのか。
突如、現れた変容する生き物。
吐夢。
恐らく、彼の事。
彼は、何者なのか。
SNSのある時代。
彼が、何者で、いつから存在するのか、
情報は、瞬く間に広がった。
九尾狐。
狐にまつわる伝説は、とかく、日本、韓国、中国と多い。
彼が、どうして、現れ、
こうも、感染者の救済を邪魔するのか。
いろんな憶測が流れた。
感染=生物兵器=大陸での実験
その方程式を知った時、
僕は、はっと息を呑んだ。
吐夢が孤独になった理由。
母さんが、吐夢を拾い、
僕を憎悪した理由。
吐夢は、家族を失っていた。
大陸で。
失った理由。
その答えが、感染にあった。
「吐夢の家族は、日本軍の実験動物になっていたの」
母さんの言葉に、
僕ら、全員、言葉を失った。
「・・・だから?・・・」
時代を超えて、復讐に現れた。
「同情するのか?」
晴が聞いた。
「晴は?」
「時として、そういう事は、繰り返す。誰かが、そばに居てくれたら、もう少し、違う結果になったんだろうな」
孤独が、見誤ったのだろうか。
僕も孤独だったのか?
母さんに捨てられた。
父さんに捨てられた。
そう思った時代があった。
けど。
そばに居てくれた人もいるのも、事実。
隣の音羽が、何も言わず、僕の目を覗き込んでいた。
音羽も、
僕も、
支え合ううちに家族の様な存在になっていた。
「吐夢をどうする?」
吐夢を止めれば、感染を阻止できるのか。
「吐夢を止めるのは、大事かもしれない。けど、止めるだけでは、意味がない。感染そのものをなくす、治療法がないと」
「吐夢の家族って、事は・・・九尾狐で、実験したって事?」
「偶然だったのかもしれない。けど、九尾狐を元に、感染原を作った・・」
「・・・て事は。治療薬も、もしかしたら」
「九尾狐で?」
皆の目が一斉に、僕に注がれた。
「まさか・・・そんな」
慌てて母さんが、否定した。
「そんな訳はない。だとしても・・・研究機関が存在しなければ、先には、薄sめないでしょう」
「そうなんだけど」
音羽が、声を鎮める様に合図をした。
僕らが、身を潜める廃墟に誰かが、やってくる気配がしたのだ。
「大丈夫みたい・・・」
音羽が、掌で、青い炎を灯した。
灯りを目印に、現れたのは、
ひどい顔をした桜咲里、1人だった。




