今そこで、起きていること。悩んでいるのは、僕らだけではない。
僕らが、
解決の一手となる真凜の怪我に消失している頃、
この小さな国の重臣達も、手をこまねいているだけではなかった。
きっと、この事態が
起きる事は、予見できていたのだろう。
自国のミスだったのだ。
どこか、他国ではなく。
研究していたのは、
他の誰でもなく、
平和ボケする前の自国のエリート達。
だから・・・
紐解いて、
ワクチンの開発もできた?
僕が、考えたのは、そうだった。
何らかの理由で、
それは、爆発し、
結果として自国を破滅に導いた。
だが、
どうしてその場所なのか。
南の遠い島。
そして、
これ幸いと侵略して来た者達は、
感染しない。
そうだ。
確かに、
開発したのは、自国。
だが、
場所は、ここではない。
戦時中にあった。
大国で、開発していたと言う生物兵器。
共同で、開発していたのか、
漏れたのか。
真凜を鍵として、
動いていた僕ら以外に、
解決しようと動いていたもの達がいた。
真凜に設計図を託した本條氏。
彼1人だけを、頼るだけでなく、
他の人間を探していた。
生き抜くために。
戦える人を探す為に、
僕らとは、別の所で、
事態は、動いていた。
その所、どころで、
現れ、邪魔する輩がいた。
吐夢。
・・・・だった。
生き抜くために、
戦おうとする人達の行く手を防ぎ、
邪魔し、
開発に携わった人達を襲っていた。
勿論、
感染した勝浦の前にも、吐夢は、現れていた。
「何の為に?」
桜咲里は、ポケットに忍ばせた残りの銃弾を数えていた。
目の前に居たのは、
あの幼い吐夢ではない。
紅い目をした、
耳まで、口の裂けた変容した姿だった。
「感染を止める?そんな事は、したくない」
「何を言っているの?」
一緒にいた時間は、僅かだった。
颯太達に、拾われ、非常食を頬張っていた吐夢ではない。
「この国が終わるのが、見たくて」
「小さなあんたが、そんな事言うなんて、」
何が、そうさせるのか。
「小さい?そんな事ないよ。僕は、あの颯太のような雑種とは、違うんだ」
「兄弟?じゃないの」
「まさか・・・。僕は、純粋な種だね」
「それなら・・・」
まだ、銀の銃弾が残っている。
隙を見せたら、撃ってしまおう。
「僕は、簡単に死なないよ。殺そうと思っている?何度も、危ない目に遭って、生き抜いた。大陸でもね」
「大陸で?」
桜咲里は、ピンと来た。
「この感染と関係あるの?」
開発は、大陸で行われた。
吐夢の顔が、気味悪く歪んだ。




