彼女は、母の気持ちを見抜いていて、僕を僕を責める
「音羽?」
僕は、とんでもない声をあげた。
だって。
え?
無事だったの?
もう、逢えないと思っていたから。
誰かが、音羽の姿を借りただけだと、思っていたから。
目の前で、
長い髪で、絡みとった吐夢を放り投げた瞬間。
本物だと思った。
「無事で・・・・よかった」
状況に合わず、僕は、ほっと、胸を撫で下ろした。
あのまま、
音羽の影を宙で、掴んだ時、
どんなに虚しかったか。
「もういいの?」
それなのに、音羽の声は、冷たかった。
「ようやく、お母さんに逢えたんでしょう?いいのお母さんと良く話さなくて」
「え?」
そこ?
「お母さんの名前は、一の葉。中に居て、どんな事情があったのか、わかったから。大事にしてあげて」
「音羽?君は?」
怒っている訳は、ないよね?
「颯太。一方的に、思い込むのは、危険よ。一の葉が、どうして、姿を消さなくては、ならなかったのか。聞くべき」
「あの・・・」
僕は、何の事か、わからない。
窮地を救った音羽だけど、やけに、僕に対しての言葉は、冷たかった。
「音羽・・・あの。心配して」
「わかっている」
オドオドする僕を見て、母さんは、失笑していた。
「こんな子だった?」
「いや・・・そんな」
口の中で、言葉を出せず、モゴモゴしていと、晴がやれやれと言う様子で、
「結構、優柔不断で、問題を起こすタイプですよ。お母さん」
晴の目は、熱く母さんを見ていた。
「優柔不断?あなたもね」
「いや・・・」
妙な空気が、流れた。
そうか。
ずっと、不思議だった。
殺生石で、起きた事。
晴にとっての特別な人。
そういう事か。
全て、つながる。
どうして、人と関わりたがらない晴が、僕には、親身なのか。
晴が1人を貫くのか。
長く生きる九尾狐だから、こんな事が起きる。
「・・・だから・・・駄目なんだ!」
音羽の髪に、絡みつかれ、吐夢が叫ぶ。
「間違っている。助けちゃ・・駄目なんだ。」
あの小さな吐夢に、どんな力があると言うのだろう。
「わからない人達だ!」
目が赤く光ったかと思うと、音羽の髪は、いく筋も、千切れていった。




