僕が知りたいのは、誰が一番、一番、そばに居てくれるかって事
晴の態度が、以前、何があったのか、
教えてくれた。
「大陸から来た」
最初、あった時に、そう言っていた。
代々続く家の倉の中で、
時の流れを見ていた。
自分だけを、おいて
時間が流れるって、どんな感じ。
誰とも、相容れない存在。
晴は、僕を受け入れてくれた。
音羽の存在も、大きかったけど。
僕を受け入れてくれるのは、
母親が関係しているなんて、考えたくなかった。
「待って!」
去ろうとする音羽の手を掴んだ。
「大事な事を話していない」
「話す事なんて、ない」
音羽の顔で、言われると僕は、辛い。
「音羽。じゃない・・・よね」
答えたら、いいのか、悩む顔。
瞳の奥にあるのは、母の顔だった。
「どうしてなのか、ずっと、考えていた。僕が悪かったのか」
「何を言っているのか、わからない」
「音羽じゃないよね・・・。そこにいるのは」
音羽は、僕の手を優しく、とった。
「音羽の体を借りているんだ・・・颯太。弱っているんだよ」
晴が声をかけた。
「無理してまで、現れた。それには、理由がある。わかってやれ。颯太」
「晴は、知っているの?」
母の事を、晴は、どこまで、知っているのか、腹ただしくなった。
「晴は、母さんの事を知っているの?」
「いや・・・」
晴が言い淀んだ。
「どうして、晴は、知っているのか、知りたい」
「絡むなよ。颯太」
晴は、言葉を見つけられないようだ。
「長い間、どうしてなのか、答えを探していたんだ。母さんなんだろう?音羽の姿をしていても、わかる」
音羽の姿を借りた母さんは、言葉を失っていた。
晴、同様。
「時期が来たら、話をする。それで、いいだろう?」
ようやく、口を開いた晴は、言った。
「簡単に話せることではない。」
音羽の目は、僕をじっと見つめていた。
「音羽の声で、聞きたいんじゃないんだ。」
無理を言っているのは、わかる。
弁明を音羽の声で、聞きたくない。
それだけだ。
「颯太・・・今は、力がなくて、これが限界なんだ。わかって」
僕は、引かなかった。
晴が、いろいろ知っているのも、許せなかった。
母さんとの間に、何かあったか、なんて、知りたくもない。
「母さんの顔を見たい」
音羽の顔が、ふと、霞んだように、見えた。
瞳が重なり、力が、抜けたように、体が、沈んでいく。
その中から、花が開くように現れたのは、
音羽とは、全く、姿の異なる1人の女性だった。
「母さん?」
伏目がちに、立つ女性は、ずっと前、記憶の底にある母の姿だった。




