回避
活路。
勝浦は、桜咲里と行動を共にした。
「僕らが、惹きつけます」
そう言った颯太の姿に、息を呑んだ。
知ってはいたが、
九尾狐を見るのは、始めてだった。
「これが?」
桜咲里が、執念深く追いかけていた妖の姿だった。
普通の人間と変わりなく、
九つの尻尾があるだけ。
「九尾狐は、九回生き返る」
そう聞いていた。
「こんな子供みたいな・・・」
最初、囚われた颯太は、人間の姿だった。
今、目にした颯太は、背後に大きな尻尾を持つ、金と銀の瞳を持つ妖だった。
「娘さんを見つける事が、この世界から脱する方法です」
彼は、そう言った。
真凜が鍵を握っている。
それは、本人すら、知らない事。
彼女自身を、無事にこの手で、保護しなければ意味はない。
忌み嫌った妖に、その場を任せるしかない。
「信じていいのか?」
桜咲里に聞いた。
彼らに対して、批判的だろうと思った。
が。
「そうするしか、ないだろう」
強く否定はしなかった。
東京に向かう道中は、決して、楽ではなかった。
主要道路、裏道にさえ、検問があった。
都内に入る事は、困難。
それなら、真っ向から、突破するか。
そう、思っていた頃、
桜咲里の体調が悪化した。
鼻血だ。
感染の兆候があった。
「まさかね・・」
桜咲里が、銃弾を補充しながら、笑った。
「一応、予防はしたんだけど・・」
「予防?」
「そんな方法はあった?」
「ふふふ・・・」
乾いた笑いだった。
桜咲里を見かけたのは、香港だった。
銀の銃弾を補充した国。
あらゆる物が、裏のルートで、手に入る。
「あいつらを倒すには、自分を変えるしかないと思った時期があって」
「それって?」
「そのお陰で、簡単には、感染しない」
感染の兆候がありながら、桜咲里は、否定した。
もしかしたら、自分も感染するかもしれない。
勝浦は、そう思った。
真凜を見つけるのが、先か。
自分が、感染するのか、先か。
「感染しない方法って・・・」
勝浦は、恐る恐る聞いた。
「何をしたんだ・・・」
追い詰められた、女性は、怖い。




