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第22話 「焔の契約――目醒めし火命の龍」

焔の番獣が吼えた瞬間、ユイたちの周囲の大地が赤く脈動した。

空は紅に焼け、空気さえも炎に染まっていく。


「この地は“焔の記憶”そのもの……生きてる……!」


三姉妹のひとり、みくの声が震える。彼女の手には、火の紋様が浮かび上がっていた。

それは彼女自身も知らなかった“火の系譜”の証。


ユイは火の鍵を強く握りしめた。すると鍵は淡く発光し、焔の門が音もなく開いた。

門の奥、巨大な火炎の渦の中心に、誰かが――眠っていた。


「……あれは……人?」


その存在の額には、火の印――焔紋えんもんが刻まれていた。

しかし、その体には幾重もの封印が重なっていた。


「アーク・フラム……火命の龍の名だ。」


突如現れたのは、再び姿を現した蛇ノ目兄弟――文牙と文獄。

彼らの影は長く引き、まるで火焰そのもののようだった。


「よぉ、“鍵の巫女”。そいつを起こすには、“焔の契約”が必要なんだよ」


文獄が笑い、手のひらをかざすと、空間に巨大な火文字が浮かんだ。

「焔契ノえんけいのしるし」――契約を強制する呪文。


「契約せずに近づけば、そいつに焼き尽くされるぜ」


ユイは一歩踏み出し、静かに言った。


「私は炎に焼かれに来たんじゃない。

炎と、心を結びに来たの」


その言葉に応えるように、彼女の風命環が淡く輝き、炎と共鳴した。

その光が“火の鍵”に伝わり、鍵は変化する――


焔環えんかん……火と風をつなぐ、第二の神器……!」


火の封印が揺れ動き、眠る存在がわずかに目を開ける。


(お前の中に、まだ“燃え尽きぬ想い”が……)


声が届いた。焔の奥から、深く、低く、確かに。


「名を呼べ、“火命の龍”の真名を。そうすれば、我は応えよう」


ユイはためらいなく言った。


「アーク・フラム、目醒めて……この世界に、火の記憶を戻して」


その瞬間、空が裂けた。

焔の門が完全に開かれ、炎の龍――“アーク・フラム”が姿を現す。


蛇ノ目兄弟は驚愕し、一歩引く。


「まさか……封印を自力で……!」


「これが、“想いの契約”……!」


アーク・フラムはユイを見つめ、静かにうなずく。


「巫女よ、次なる地へ導こう。“天と地の火が交わる場所”へ――」


焔の風が、旅の道を示した。


――つづく

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