第21話 斜陽の炎、眠れる焔の門
「ここが……“ラズフェルノの斜陽”……」
ユイたちは、富世 武雄の導きにより、炎と夢の残響が交差する地に降り立った。
空は燃えるような橙、地は夢の残滓が染み込んだ灰。かつて“夢を封じた神々”が、
最後に姿を消したと伝えられる場所――それが“ラズフェルノ”。
「気をつけて。この地は、“夢”そのものを焼き尽くす“斜陽の焔”が吹き荒れている」
武雄の警告と共に、三姉妹――まゆ、みく、かなが周囲を見渡す。
「なんだか、胸の奥が熱くなるような……いや、痛い……」
みくが胸を押さえる。すると、その場に火の竜巻が現れ、渦の中から“焔獣”が咆哮した。
「出たな……“焔の番獣”!この地を守る“夢を焼くもの”!」
ユイはすぐさま風命環を構え、炎に向けて風の防壁を張る。
「ここでは、“風”も“水”も、不完全……。“火の鍵”がなければ、門は開かない」
そのとき、ユイのポーチの中で赤く光るものがあった。
“忘却界層ミラージュ・ノクス”で得た、もう一つの“火の鍵”。
「この鍵……反応してる!この地に、呼ばれてる……!」
ユイが火の鍵を掲げた瞬間、空間が開き、深紅の門が現れる。
門には封印の文字が浮かび上がる――《焔の門》。その下に、うずくまる影のようなものがいた。
「……誰か、倒れてる?」
ユイが近づくと、黒衣に包まれた青年が焔の中で眠っていた。
その額には、“火焔の紋章”が刻まれていた。
「彼は……“焔の継承者”? それとも……?」
その時、空から声が降る。
「お前たちが、“火の意志”を継ぐというのか……?」
――現れたのは、炎に包まれた二つの影。
「久しいな、“鍵の巫女”。我らが夢を焼き尽くす時が来た――」
それは、かつて闇に消えたはずの存在――
**蛇ノ目 文牙** と **蛇ノ目 文獄**。
「この門の先には、“眠れる焔神”が封じられている。
お前たちが進むには、“焔との契約”が必要だ」
焔を揺らめかせながら、二人の悪の兄弟が姿を現す。
その瞳には、狂気にも似た焔の光が宿っていた。
「さあ、“火の鍵”を差し出せ。もしくは、ここで焼き尽くされろ」
ユイの背中に風命環が震える。
「違う……私は、“焼かれる”ために来たんじゃない。“火を繋ぐ”ために来た!」
ユイが叫ぶと、焔の門がゆっくりと開く。
中から聞こえる、深く眠る声――
(……わたしの名は、“アーク・フラム”。焔の記憶を継ぐ者)
――つづく




