第3話魔女のパンプキンパイ
「ありがとうね。村を代表して何か礼をさせておくれ。」
『いえいえ!』
『美味しい料理食べられたのはみんなのおかげ!』
「なんと謙虚な…ナポリタンという貴重なレシピを無償で…」
「こやつらはあくまで野菜をだな。」
「また売りに来てくれませんか。」
『いいですよ!』
「ここに来る間も悪くなかったわい。」
村人たちに見送られて出発する一行、商品は全て完売、お土産としてパスタ麺やら山菜を貰った。
『山菜ってどう食べるの?』
『揚げ物にすると美味しいんだよ。』
「おお!それは楽しみじゃわい!」
<てんぷらー!>
<楽しみー!>
またパスタ生活になっても飽きない食いしん坊たち一行は三日後、魔の森へたどり着いた。出迎えてくれたのは大蛇。
「しゅるる。」
『蛇さんこんにちはー!』
「おお、蛇の。元気じゃったか。」
「しゅる。」
「がはは!くたばらんか!流石はこの森の主じゃ!」
『ぬしー?』
『この森で偉い人だよ。』
『すげー!』
「しゅるる。」
『…お客さん?』
箱庭まで歩いていくと魔の森の魔物たちに囲まれている一人の女性がいた。
「ひぃぃ!食べないでー!!!」
『魔女さん?』
『まじょさん!』
「…へ、か、可愛い!もしかして天使様?!」
「んなわけなかろう。客人か?」
「えっと…ここにある薬草を…ひっ!」
『魔物さんたちピザパーティーするから落ち着いて!』
ピザパーティーするなら襲わないと魔女から離れる魔物たち。困惑する若き魔女。
「…えっと従えさせてるの?」
『違うよ?みんなご近所さん!』
『ご近所さんいい人たちなんだ!』
「…ええ。あの強者しかいない魔の森がいい人?いやいい魔物なわけが…」
『お腹すいてない?』
「お、お腹すいてなんか…」
ぐぅぅぅとお腹を鳴らした若き魔女は顔を真っ赤にして俯く。弟フェレットは若き魔女の手を引っ張り箱庭前まで連れていく。
「これこれ、危険人物じゃったらどうする気じゃ!」
『大丈夫!この人悪い人じゃない!』
『危険なことしたら魔物さんたちに襲われるからしないんじゃない?』
「それもそうじゃのう。小娘、余計なことをしたら…分かっておるな。」
「わ、分かってる!…にしてもここは。」
『ようこそ!猫とフェレットの箱庭へ!』
初めてのお客さんにウキウキする弟フェレット、姉猫は小人たちに椅子と机を持ってきてほしいとお願いして持ってきてもらうことに。箱庭の中に入った若き魔女は驚愕する。
「見たことない野菜…そ、それにあれは魔物?!い、いやでも魔力は感じないし…」
『鶏だよー。卵産んでくれるんだー。』
「卵?!あの貴重な?!」
「乳牛のミルクも中々美味くてのぅ。バター、チーズなどに加工すると更に上手くなる!」
「…ごくりっ。」
どんな料理なのか楽しみに待つ若き魔女は小人たちを見て驚愕しながら椅子に座る。
「…まるで隠れたレストランにきたみたい。」
<りんごジュースどうぞー!>
「あ、ありがとう…じゅーすってなに?」
<あまーい飲み物!>
<搾りたて新鮮!>
<くだものー!>
「…くだもの…?」
この世界には果物という概念は広まってない。甘いものを食べられるとしても一部の貴族や王族くらいだ。果物は自然に採れるものしか知らない為果物を知るのは一部の人たちのみである。若き魔女は知らないのも無理もない。
「美味しいの?」
<飲んでー!>
「…小人だけでも驚愕なのに…甘い匂いがする。」
リンゴ特有の甘い香り、あっさりした味、といっても甘ったるいものではない飲み物。
「…り、りんごって美味しいのね。でもどうやって甘くしてるの?」
<わかんないー。>
<猫曰く果物は甘いんだって。>
「…つまり砂糖と同じ貴重な…」
『お待たせしましたー!紅茶とパンプキンパイでーす!』
目を見開く若き魔女、パンプキンパイという単語に聞き覚えはなく。ジッと見つめていた。
『かぼちゃ使ってる?』
『そうだよー。』
<かぼちゃー!>
「か、かぼちゃってどんな食べ物?」
姉猫がかぼちゃを持ってくると立派な緑色の野菜だった。硬そうで食べられるかどうかも分からないものだった。
「これ美味しいの?」
『煮て柔らかくしたら食べれるよ。』
「…ふぅん。」
『甘くて美味しいんだー。』
「…甘い?!」
甘いという言葉に食いついて席に座り食べる。サクッとした食感、ホクホクしたかぼちゃペースト。砂糖も混じっているので更に甘く感じるのだがそれを知らない若き魔女は食べる。
「…甘いー!」
人生で初めて甘いものを食べる若き魔女は天にも登る気持ちになった。近くにいる物知りじいちゃんドラゴンは同じようにパンプキンパイを食べていた。
「うむ、美味いのう。」
「…かぼちゃっていい食べ物ね。」
『育ててみる?』
「…へ、いいの?」
『種沢山あるからいいよ。種も乾燥したら食べられるし。』
「いい事聞いちゃった!ありがとう!」
「ほっほ、育てるのはいいが苦労するぞ。」
「私は長生きだから大丈夫!…かぼちゃかぁ。うん、頑張って育てるよ。」
若き魔女は知らない、成長速度がえげつないかぼちゃだということ、食べ切れなくなったかぼちゃを分けていたが後に魔女の国名産として売れるようになることを。魔女たちがかぼちゃ好きになることに。かぼちゃの料理やスイーツが多く出来ることも。そしてその若き魔女は功績を認められ、かぼちゃの魔女と呼ばれることになるとはこの時の若き魔女は知らないままかぼちゃの種を持ち帰るのだった。
「ま、私の分だけ採れればいいか。」
いつか美味しいパンプキンパイを食べてみたいと思ってる人です!




