5/35
第5話 侍女アンナの部屋
姫様の着替えを終え、部屋の掃除を済ませると、私は、さっき目を覚ました部屋に戻ってきた。
——ここ、侍女たちの部屋だったのね。
狭い室内には簡素なベッドが並び、私と同じくらいの年頃の少女たちが忙しなく出入りしている。
どうやら私は、「アンナ」という侍女になってしまったらしい。
私が仕えるのは、王家に次ぐ名門公爵家。
その一人娘が、リリア様だった。
今の私は……高校生くらいの年頃に見える。
鏡をのぞき込む。
透き通るような白い肌。
やわらかな金髪。
大きな青い瞳。
——金髪、悪くないわね。
元の世界なら、こんな髪色にする勇気なんてなかった。
咲香が見たら、きっと驚くだろう。
……いや、あの子なら案外、
「お母さん、意外と似合ってるじゃん」
なんて笑うかもしれない。
少しだけ胸が温かくなった、その時だった。
「アンナ! 何、鏡とにらめっこしてるの!!」
びくっと肩が跳ねる。
「リリア様のお食事の時間よ!!」
また、ジーナに怒鳴られた。




