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第32話 やさしいクッキー
「アンナ、クッキー食べる?」
リリア様が、小さな手を差し出した。
「いただきます、リリア様。」
私は、にっこりしながら受け取った。
あれから、数日が過ぎた。
ようやく、城にも平穏な日々が戻っていた。
ジーナは、東の塔へ移ることになった。
今回の騒動の大きさを思えば、異例ともいえる軽い処分だった。
リリア様と私が奥様に願い出たことも、少なからず影響したのだろう。
それに、働き者のジーナは皆から信頼されていた。
「クッキー、ジーナにもあげたい」
リリア様が、ぽつりと言う。
「そうですね。直接渡すことはできませんが、もう少し分けてもらえるよう、料理長にお願いしましょう。」
私たちは、そろって厨房へ向かった。




