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第31話 わるくないよ
「入りなさい。」
奥様の声とともに、扉が開いた。
現れた人物を見て、私は息をのんだ。
ーージーナ!?
「おまえ、なんで来たんだ!!」
管理人が叫ぶ。
「ジーナ、どうして……?」
「……アンナ、ごめんなさい。
あなたの最近の活躍が、うらやましくて…。
私のほうが長くいるのに、リリア様は、あなたばかりに懐いている。私だって、頑張ってきたのよ。」
「ちょっと、痛い目を見るといいと思って、あの人に頼んだけど、こんなに大事になってしまって…」
いつもの強気なジーナは、そこにはいなかった。
「ジーナを連れて行きなさい。」
近衛隊長が言った。
「……まって」
小さく、リリア様の声がした。
「ジーナ、いじめないで」
「ジーナ、毎日、りりあのお世話してくれた」
そして、ハッキリと、言った。
「わるくないよ」
ジーナは、はっと顔を上げた。
「リリア様……!!」
ジーナは、兵士につかまれた腕を、それでもリリア様へ伸ばそうとした。
ーージーナは、連れていかれた。
その背中を見送りながら、私はリリア様の成長を、誇らしく思った。
そして、少しだけ泣きそうになった。




