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第3話 自分で選べない姫様
「お母様からのお手紙、まだ読んでいないの」
「今日は……どれを着るのだったかしら」
少女はうつむいたまま、小さく呟いた。
「……ジーナ、知ってる?」
ジーナはため息をつき、ポケットから手紙を取り出した。
「はいはい、確認します」
「——白いブラウスに、黄色のスカート。寒ければ白のカーディガン」
「アンナ、探して!」
「はいっ!」
反射的に返事をして、服の山をかき分ける。
——自分で選ばないの?
胸の奥が、かすかにざわついた。
誰かに全部決めてもらうのが、当たり前になっているみたいで。
「……あった」
見つけたブラウスを差し出す。
「さあ、どうぞ」
「……え?」
少女は、手を伸ばさなかった。
まるで——触れてはいけないものを見るように。
「アンナ、早く着せて!」
少女は、ただ黙って立っていた。




