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SNOW WHITE INTERLUDE -白雪姫と七つの矮星-  作者: 二ノ宮純
最終章 「星々のINTERLUDE」
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最終章 「星々のINTERLUDE」最終話

開演すると、ロビーの熱気がそのまま、

客席に広がって行った。


「うぁ〜すごい人がいるよ!!」


リナが、袖幕の客席カメラに映った多くの人を見ていた。


(今までこれくらいの舞台立ったことあるでしょ)


するとゾロゾロと、

衣装に身を纏った少女たちが集まりつつあった。


騎士、村人、動物、王族。それぞれの身分。


それぞれの役割を背負った少女たちが、

ひとつの世界を形作るために、今日まで頑張って来ていた。


結依や葵、翠月、プラナは、

緊張している子に寄り添っている。

寄り添う声が優しく響く。



哪吒や朱、八重、マナは、

お互いの動線の最終確認をし始める。

確認する指先が、静かに動く。


二乃と黎夏は、ちょっとふざけ合っていた。

ふざけた笑い声が、一度だけ跳ねる。



まだ幕が上がっていない中、

翼だけが舞台の中央に立っていた。


客席の熱は、幕の向こうから伝わってくる。


一度だけ息を吸い、昂る心を落ち着かせる。


翼は前を向く。向いた先に、まだ見えない客席。

そして、SNOW WHITEの舞台がある。


「翼、裏方各セクション及び、役者陣全員準備完了だよ」


侑樹が、翼に全ての準備完了を告げた。

告げた声は、静かで、確かだった。


「ありがとう侑樹」


すると侑樹は、耳に付けたインカムを外し翼に差し出した。


「え?」


「一応、翼が座長みたいなもんなんだから、本番前に一言みんなに言ってよ」


こういう役は、あまり得意ではなかった。


翼自身、誰かの上に立つより、

隣で一緒に頑張るタイプだったから。


指先が、一度だけ迷う。

迷ったあと、翼はインカムを受け取る。


受け取ったまま、彼女は小さく息を吸う。


吸った息が、胸の奥で静かに落ちる。


翼はインカムを耳に当てる。


彼女は一度だけ目を閉じる。

閉じたあと、翼は小さく口を開いた。


「みんな、フラウ・ヒンメル、飛彩翼です。今日この日を、みんなで迎えられて、とても嬉しいです」


翼の声が、インカムを通して、

劇場の隅々に落ちる。


袖幕の少女たちが、静かに耳を澄ませる。


「私たちは、過ぎ去りし流星たちを越えるために、SNOW WHITEを完成させようとしてきた。流星たちは偉大。そう簡単に越えられない」


翼は、一度だけ息を吸う。


吸ったあと、彼女は続ける。


「でも、私たちは、流星になかったものを手に入れた。立風館、アカデミア、カリスティック。百合々咲だけじゃない、外の世界を知ることで、私たちは前より大きく成長できている」


声が、少しだけ熱を帯びる。

帯びたまま、翼は前を向く。


「この舞台は、2部という一つの区切りじゃない。これは、新しい世界へ羽ばたくための舞台。みんなで、一緒に羽ばたこう!」


最後の言葉が落ちたあと、袖幕に小さな拍手が起きた。


「なかなか良いこと言うじゃん」


そう言うと侑樹は、インカムを受け取り、

翼の肩をポンと叩いて、袖の中へ消えて行った。


それに入れ替わるように、エーデル、そして矮星が集まった。


集まった12人の影が、舞台の袖で重なる。

重なった先で、みんなの顔は、しっかり前を向いていた。



12 人が、横に並ぶ。並んだあと、目を瞑った。


(私たちは2人で1人、みんなで目指すは流星を越えた頂、ただひとつ。)


(私たちは星々、みんなで掴む、みんなの夢を。)



(みんなの為に私は踊る、私は演じる。世界よ、これが私、柊黎夏!)


(みんなの為に私は進む、私は成長する。世界よ、これが私、立花翠月!)


(この羽は自分の為の羽にあらず、みんなで飛ぶ為の羽である。)



(この剣は傷つける剣にあらず、みんなで未来を切り開く為の剣である。 )


(この舞は祈りのための舞にあらず、みんなを導く舞である。)


「カリスティックアーツ芸術学園、ステラ・ゴルド(金の星)、マリナ・ゴールドエーカー」


「カリスティックアーツ芸術学園、ステラ・ズィルバー(銀の星)、降星プラナ」


「アクターズミュージカルアカデミア、ステラ・シュバルツ(黒の星)、柊黎夏」


「アクターズミュージカルアカデミア、ステラ・グリューン(緑の星)、立花翠月」


「立風館女学校、ステラ・ヴァイス(白の星)、白羽結依」


「立風館女学校、ステラ・ロート(赤の星)、神代朱」


「立風館女学校、ステラ・ブラウ(青の星)、神代葵」


「入ります」


七つの矮星たちの声が静かに重なった。




世界は敵だけじゃない。昨日の敵は今日の友。

舞台の上では、私たちは1人じゃない。


「フラウ・ヴァッサー(水の君)、張哪吒、入ります」



わがままでいることは、

自分自身を見失わないこと。

私たちは、我がままに我が道を行きます。


「フラウ・ボーデン(地の君)、香取砂月、入ります」



一歩踏み出した後は、堂々と自分らしくあること。

自分らしく楽しんで、私たちは成長をする。


「フラウ・フォイヤー(火の君)、八重・バートン、入ります」



自由を楽しむ。

制限された中で、自分という個を出す。

楽しんだもん勝ちのこの世界で、

私たちは自由に生きる。


「フラウ・ヴィンド(風の君)、鎌田二乃、入ります」



そして……


外を知る。外を知ることで、自分の小ささを知る。

今なら私たちは、もっと高く、もっと高い空へ行ける。


翼の声が、静かに舞う。


「フラウ・ヒンメル(空の君)、飛彩翼、入ります」




翼が、舞台へ踏み出す。踏み出した先で、

12人の影が、幕の向こうの光の中で揃う。


静かに翼はそっと呟く




「始めよう、PRELUDEを越えた私たちのINTERLUDEを……」




幕が、ゆっくりと上がり、

光がステージを包み込む。




SNOW WHITE 第2部の開幕




これは、トップスタァを目指す少女たちの物語。

そして……



世界を知る物語である。


最終章 「星々のINTERLUDE」完

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