終章 「終幕のPOSTLUDE」
「第2部もご苦労様でした、ロゼ」
百合々咲音楽学院の理事長、ミリー・マーキスは、紅茶の入ったティーカップを片手に座っていた。
「どうせあんたのことだ、第3部もどうせやるんだろ?」
「ええ、そのつもりです」
相変わらず掴みどころが分からない女だと、
ロゼは思っていた。
「今回は他校の矮星……。次も何か企んでるんだろ」
「察しがいいですね。伝説を越えるためには、伝説になるしかない」
「伝説を越える伝説? なんだそりゃ」
「その礎のために、わざわざ彼をイギリスから呼び寄せて、第2部を見てもらったのですよ」
ミリーが、ロゼの隣に立っている青年に目が行く。
イラム・シーラック。
アンダルシアの演出最高責任者。
イラムは、メガネを少し直す。
そして彼は静かに口を開く。
「ここで見たものを、感じたことを、あの子たちに教える。それが僕の任務ですね」
「ええ」
ミリーの声が、柔らかく落ちる。
「おいおい、いち学校の舞台でそこまでやるのか」
ロゼの声が、少し呆れたように言う。
「そうしなければ、流星の伝説を超えるなんて無理ですよ。何より第3部は、あの流星が完成できなかった舞台ですから」
ミリーの声は、静かで、しかし芯があった。
「この舞台に、死神を招きます」
理事長室の空気が、一度だけ止まる。
死神
その名を持つのは、世界にたった1人だけ。
世界最高峰の歌劇団が、動き出す。
「SNOW WHITE INTERLUDE – 白雪姫と七つの矮星 -」 完




