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SNOW WHITE INTERLUDE -白雪姫と七つの矮星-  作者: 二ノ宮純
第3章 「空白の席は誰が為に」
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第3章 「空白の席は誰が為に」 第2話

結依たち矮星は、百合々咲音楽学院の寮に宿泊していた。


高級ホテルの一室のような豪華なベッドに、

煌びやかな内装。


立風館の木造の落ち着いた雰囲気とは全く違う、

洗練された空間だった。


結依は窓際の椅子に座り、

SNOW WHITEの台本を読んでいた。


SNOW WHITE……過ぎ去りし流星たちに憧れていたのは、私も同じだった。


もし自分がこの学院を辞めなければ、

白雪姫は自分が演じていたかもしれない。


もっと後輩たちに指導できていたのかもしれない。


二乃や八重さん、砂月さん、哪吒さんたちと、

もっと思い出を作れていたのかもしれない。



戻れるものなら過去に戻りたいと、

何度も思っていた。



でも、今は——


結依はスマホを取り出し、写真フォルダを開いた。


そこに写っていたのは、

立風館のみんなと過ごした日々。


笑顔で稽古に励む仲間たち、

竹林の道を歩く姿、 一緒に汗を流した後の達成感


立風館でみんなに出会えて良かったと思える。


すると、スマホに着信が入ってきた。


立風館にいる仲間からの着信だった。


「はい、もしもし……はい、こっちは大丈夫ですよ」


それは結依を心配しての電話だった。


立風館の演劇科一同、

結依の事情を知っているからこそ、

皆が心配してくれていた。


「そっちは大丈夫ですか?また美琴さんが変な事やらかして先生たちに迷惑かけてませんか?」


そこに——


「練習終わりの風呂はやっぱ良い湯だったな」


朱と葵がドアを開けて入ってきた。


「朱、いい加減下着つけてよ」


「ブラ嫌いなんだって」


「ここは立風館じゃないんだよ」


双子の姉妹らしい口喧嘩を始め出した。


それを止めるのはいつも通り——


「朱さん、葵さん、喧嘩はやめてください」


結依が少し声を強めると、

朱と葵は慌てて大人しくなった。


やれやれ、と結依は肩から力を抜いて電話に戻った。


「ごめんなさい、朱さんたちが帰ってきたので……

また何かあったら連絡してきてくださいね」


結依が電話を切った。


「誰と電話してたんだ?」


「あさひさんですよ。心配して電話かけてきてくれました」


立風館の色んな人に支えられて、

今自分はこの場所に立てている。


でもそれは逆に、百合々咲にはもう自分の居場所はないと言われているようにも思えてしまった。


「結依は久しぶりに百合々咲に帰ってきてどう?」


「うーん、変わってるようで変わってない感じですね」


「ってか、みんなあんまり、結依が辞めたことについて言って来ないよな」


百合々咲に来てから、百合々咲の生徒と話す結依の姿はよく見ていたが、 結依が辞めたことについて問い詰めたり、聞いてくる者はほとんどいなかった。


「多分、みんな気をつかってくれるんだと思います。私はもう百合々咲の白羽結依じゃなくて、立風館の白羽結依ですから」


その声はどこか寂しそうに聞こえた。


そんな結依を、朱が後ろから抱きついてきた。


「どこに行っても結依は結依だよ」


そう、今は一緒にいてくれる仲間がいる。


「ありがとう、朱さん」


少し背中に違和感。


「朱さん……せめて百合々咲にいる間だけでも下着つけてください」




これは、トップスタァを目指す少女たちの物語。

そして……




世界を知る物語である。


第2話 完

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