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SNOW WHITE INTERLUDE -白雪姫と七つの矮星-  作者: 二ノ宮純
第2章 「星が集う日は次なる祭典」
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第2章 「星が集う日は次なる祭典」 第9話

百合々咲のカフェテラスで、黎夏と翠月たちが軽く休憩を取っていた。


「なんかこの舞台って自由にやれないよね」


黎夏がフォークを手に、ポツリとつぶやいた。


「仕方ないでしょ、ここはアカデミアじゃないんだから」


正面に座る翠月が、食事しながら冷静に答える。


「アドリブも自由に言えないし、決められた動きばっかりでなんか退屈だよ」


「それが百合々咲。日本最高峰の学校なんだよ?それくらい当たり前よ」


黎夏も一応分かってはいたが、

自由がモットーのアカデミアからしたら、

どうしても窮屈に感じてしまう。


「というより、ウチが自由すぎるのも問題よ。リル先輩なんて制服無視して改造制服してたくらいだし」


「あれ格好いいし良いじゃん」


「逆に私は自由に憧れちゃうな」


トレイを持ったプラナが、黎夏の横に座った。


「あなたは、カリスティックの降星さん」


「プラナでいいよ」


「プラナちゃんはなんで自由に憧れるの?」


「ちゃん?!」


黎夏のいきなりのちゃん付けに、

翠月が慌てて反応した。


プラナは3年生。2年生の黎夏や翠月からしたら先輩にあたる人物だ。


「あ、いいよいいよ。呼び方あんまり気にしないし」


「すいません……」


プラナはスープを一口啜りながら、静かに続けた。


「カリスティックって知ってると思うけど、百合々咲以上に厳しい学校」


「知ってます。序列制度がある学校ですもんね」


カリスティックアーツ芸術学園には、他の学校にはないシステムがあった。


それが「序列制度」。


生徒たちの成績に順位をつけ公開され、

上位は学校内で優遇される完全実力主義の学校。


逆に下の層はイジメや落第、退学の対象になってしまうこともある。


すなわち、生徒全員がライバル同士な学校、

それがカリスティックだった。


「序列があるからなのか、あんまり自由なものって許されてないんだよね」


「よかったーカリスティックに行かなくて」


「黎夏が入れるわけないでしょ」


プラナがクスッと笑う。


「この舞台はカリスティックにとっては数少ない自由にやれる舞台だから、私的には楽しいと思うよ」


黎夏はよく分からなかった。


「でも、あなたたちも大変よね。役者やりながらアイドルって」


「ううん、ぜんぜんD4楽しいし! プラナちゃんもハイスクールアイドルやったら?」


「いや〜、カリスティックにアイドルはどうなんだろ……」


苦笑いをするプラナ。



翼は課題提出のために職員室から出て、

長い廊下を歩いていた。


矮星という新たに生まれた大きな壁に、

どう向かえばいいのかで頭がいっぱいだった。


自分たちは過ぎ去りし流星たちを越えたい一心。


でも、それ以前に立ちはだかる壁が、

何より大きく感じていた。


「もう、マナばっかりずるい!リナも演技したい!!」


人気のない廊下に、聞き慣れない声が響いた。


翼が声の方向に進むと、そこにはカリスティックの制服に身を包んだひとりの生徒がいた。


確かあの後姿は——


「ゴールドエーカーさん?」


「ん?」


振り返ると確かにマリナだったが、

少し雰囲気が違った。



レッスン室にいた鋭い目つきではなく、

丸みを帯びた可愛らしい目つき。


まるで幼い少女のようにも見えた。


「えっと、確か…翼ちゃんだよね!やっと話せた!!」


何がなんだか分からなかった。

目の前にいるのは確かにあのマリナ・ゴールドエーカーだが、声色や雰囲気は全然違う。


「あ、えっと……」


「私はね……」


言いかけた途端、急にマリナが目を閉じた。


すぐに目を開いたが、その目はレッスン室で見た鋭い目つきに戻っていた。


「すまない、今見たことは他言無用で頼みたい。可能なら忘れて欲しい。」


「あ、はい……」


翼はポカーンとし、

ただ去っていくマリナの後ろ姿を見つめることしかできなかった。


廊下に残されたのは、翼の混乱と、

不思議な少女の残響だけだった。




これは、トップスタァを目指す少女たちの物語。

そして……





世界を知る物語である。


第2章 「星が集う日は次なる祭典」 完

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