第4話 脱獄
見つけて下さりありがとうございます!
ラテのイメージは髪をくくっている感じでいます。
―どうぞ、お楽しみください!
「はぁ…良かろう」
閉ざされた牢の床に、かすかに白い輝きが馳ぜた。
男の眉間にシワが谷間のように押し寄せる。
「お前が魔王を殺した暁には、弟を解放すると約束しよう…。」
身体に取り憑いていた物が落ちるように、
力が抜けて行く。
だんだんと魔力が全身へと周りだす。
兄ちゃんが、今度こそ助けるから…!
そう静かに、でも熱く胸に誓った。
霧がかったエメラルド色の瞳で、また何を考えているのか分からない顔をすると、まだ飽き足りないようでカサついた唇を不透明な唾液で滑らせた。
「ただし、この我が王国に帰還しなかった場合は即座に弟の首は落ちるぞ…!」
まくし立てるように鼻息荒く男が語った。
出鼻を挫きたい一心でさじを投げたのが安易に伺える。
いちいちコイツの言葉に苛立ちを感じていたのが馬鹿馬鹿しい。
「先に落ちるのは、お前の地位と首だろうな…。なぁ?」
そう言い男を睨みつけると、
―パキッ。
と乾いた音が鳴いた。男が視線を移した先には、手錠が床に真っ二つに割れたまま転がった。
「なッ…、ち、力だけで世の中は変えられるものではない!魔法が世界を轟かせるのだ…!」
目を見開いたまま、飛沫を飛ばしながらハクハクと強がりな言葉を紡いだ。
…いや、魔法で壊したんだけど。
バカ力じゃねぇよ…。
だが実際、魔法で壊した事が巨漢に気づかれると 俺は本物のオモチャにされてしまうだろう。
手首を沈めて行く、重圧魔法が施された手錠に俺の魔法が伝染し手錠の内部に入り込むと魔法形成回路を焦がしショートさせた。
全身の苛立ちだった物を加えた圧をかける。それが何かを察したように鍵を投げ入れ、バツの悪そうな顔をしてすぐに立ち去った。
…殺気立っただけだけどなぁ〜?
あ〜、めんどくせぇ。
荒く頭を掻きむしり、首まで伸びたベージュとホワイトのテールカラーの髪を結び直した。キツく、髪を括りながら、腹を括ると独りでに黒光りする鉄格子に手を掛けた。
指先に弾けるような魔力が集中すると、バイオレット色の光線が紡がれた。
鉄格子を掻っ切るように右手を左から右へと、スライドさせた。瞬時に、手で切った鉄格子が勢い良く宙を舞った。
するとバキバキと龍の首をへし折るような轟音を立て、鋭くとがった鉄格子が目で追うことも出来ない速さで粉々に粉砕した。
折れた隙間から見えた通路は、静けさをまといながら石で造られた壁の隙間から微かに木漏れ日がさしていた。
背中で鉄格子が崩れて行く音が響き渡る。
鍵はそのままに、牢から通路へと足を踏み入れた。
あの時のように、再び地を踏む感覚が蘇る。
嫌でも懐かしさを感じる、無駄に長い廊下を歩きながら、王家に伝わる隠し通路を通って人生初の脱獄を果たした。
足を進め、今後の行き先を考える。
静寂で閉ざされた空間に自身の足音だけが、 リズムを刻む。
ふと、腹が減ったことに気づき一つの場所に思い当たる。
もう一度の旅路の始まりは、あの店で飾ろうか。
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