第92話:ちょっと?危険な依頼
アロン達との洞窟探検から4日程経ったある日の事、俺とルシュはギルドの依頼を見ていた。
すっかり俺達はギルドに来るのに慣れており、他の冒険者達とも顔なじみになっていた。
だが最近はギルドの酒場にたむろしている冒険者達の姿が少ない。
モアにその事を尋ねると、アンデッドの出現報告が多く、人手が割かれていると教えてくれた。
依頼書を見ると、そこまで多くの依頼が無い。
基本的には緊急性が低く危険性も低い魔獣討伐の依頼を受けていたので、今回もそういった依頼を吟味していた所、
「ヨウヘイさん、ルシュさん」
とモアに声を掛けられた。
受付に移動すると、そこには一人のオークの青年が居た。
「あなた方はあの時の……」
オークの青年の顔が明るくなる。
「えーと……」
どこかで会ったかな、と俺が少し考えていると、
「前に助けたオークの人だよね?」
ルシュが声を掛ける。
「そうです、あの時は助けていただいてありがとうございました!」
ああ、初めてガワ討伐をした時にシャグに襲われていた青年か。
あの時の事を俺は思い出した。
「こちらこそ、元気でやってるようで良かった」
俺達はオークの青年と握手をして話し込んだ。
***
オークの青年の名前はサルグと名乗った。サルグはマーテンで家具や小物を作る工房で働いているらしい。
あの後無事に帰れていたのかと心配していたが、こうして元気な顔を見られて安心した。
「今回は素材収集の依頼をしにきたんですけど……」
サルグの語気が少し弱くなる。
「場所はマーテン南東の街道の途中を東に入った森の中、採集する素材は黄光石ですが……
あの辺りにはシャグを始め危険な魔獣が出てくることがあります」
モアが少し困ったような表情をする。
「採集が目的なので無理に魔獣と戦う必要はありませんが、やはり場所が場所なだけに危険性は少し高いです。
ギルドに人手があれば良かったのですが……」
そう言ってからモアは俺とルシュを順番に見る。
「サルグさんからは以前シャグを倒したあなた方にお願いしたいとの希望もありましたので、
今回依頼をしたいと……」
モアの口調は少し迷っているようだった。
「討伐経験があるとは言え、シャグは一体とは限りませんし、他の魔獣が出てくる可能性もあります。
少々危険な依頼になりますが、そのぅ……」
モアとしてはあまり推奨できないといった感じだ。
それでも俺達に話を持ってきてくれたのは、サルグの希望を無碍にできなかったからだろう。
俺はサルグの顔を見る。
「報酬は出来る限り高くしたいと思います、お願いします!」
と彼は頭を下げた。
シャグは強い魔獣だ。
前回は一体だったが、複数体相手になれば話は変わってくる。
それでも、この青年が俺達を頼ってきたという事実は重い。
「俺は……受けても良いと思う、ルシュは?」
「私も、受ける」
こうして、オークの青年サルグの素材採集依頼を受ける事となった。




