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第77話:ご近所の森へ

 西の森に入り、俺達は道なりに進んでいく。


 入り口では浅い印象を受けたが、進んでいくと少し印象が変わった。クステリの森と比べると確かにそこまで深さは感じないが、全体的に光の差す明るい森でありながら、苔の生えた岩、群生する野草、所々にある小川等、変化に富んだ森だと感じる。


 俺は前方を、ルシュは後方を警戒する。鳴り響くのは鳥と虫の声。静かな森そのものだ。


 暫く進むと、道が分かれている場所に出た。分かれ道には看板が立っている。


「左が泉、右が洞窟か……」


「ここは右よ……」


 イルミニさんが向かう先を指示する。


「洞窟に用事があるの?」


 ルシュがイルミニに尋ねる。


「どうかしら?それは後のお楽しみにね……」


 イルミニは返答をぼかす。彼女の放つミステリアスな雰囲気はどことなくアステノの村長、メラニーを彷彿とさせた。知っていながら教えない、そういう間の取り方が似ている気がする。


 などと考えながら、道を更に進んだ。


 ***


 十数分は歩いただろうか。未だ魔獣の気配はない。


「まって……」


 イルミニの声に俺とルシュの足が止まる。


「魔獣!?」


 気配はしなかったが、来てるのか。


「いえ、ここから小道に入るの……」


「あっ……」


 勘違いだったか。先走った恥ずかしさでちょっと顔が熱くなる。


 確かに良く見ると道の左側に小さな小道が出ている。何となく歩いていたら気付かないくらいには小さい。


「ふふ、もう少しよ……行きましょう」


 俺は頭を掻きながら小道に入って進む。


 小道に入ってから、周囲に小さな水たまりがちらほら見え始めてくる。泉というほどのものではなく、大きくても1メートル程度の広さのものしかない。足元の地面も少し湿り気を帯びていて、踏みしめるたびに柔らかく沈む感触がある。


「こっちは洞窟じゃないよね?」


 ルシュの質問にイルミニは頷く。


「ええ、ここが目的地よ」


 イルミニの言葉に呼応するかのように、俺達の目の前に小さな空間が広がった。


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