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第71話:べちべちするルシュ

「ハァ……ハァ……これで6匹目か……」


ルッタ退治を始めて数十分が経過しようとしていた。ルッタは思った以上に警戒心が強く、近づいても逃げられる。

そこから更に追いかける、を何度も繰り返していた。

延々と走って追いかけ、たまに蹴られて吹っ飛ぶ。この一連のループに俺はすっかり息が上がっていた。


「ハァ……少し……休憩……するか……」


ルッタ退治をする際に手分けをするにあたり、互いに離れすぎないように、目立つものがあればそこに集まるように決めていた。

一面草原と畑の中では目を引く農業用の小屋の前に移動する。


小屋の前には既にルシュの姿があった。ルシュはルッタの足を持ち、地面に叩きつけている。

ベチベチという擬音が良く似合う姿だった。

息を切らして走ってきた俺とは対照的だ。


***


小屋の前に俺とルシュは並んで座る。


俺は麻袋から昼食となるクラムルを取り出し、ルシュに3つ渡す。

クラムルとはクラムという芋のような植物を潰し、調味料や肉などを練り込んだ団子だ。

マーテンでは一般的な料理で、具によっては日持ちもするので、冒険者が少し遠出をする際の食料として持つ事も多い。

市場で色々なクラムルが売っているので、今回の昼食として購入していたのだ。


まず水を飲んで一息ついてから、自分の分のクラムルを取り出す。

しばらくの間、周囲を眺めながら俺達は昼食をとった。


……


一息ついてから、俺とルシュは互いの戦績を確認する。


「そうか、もう10匹倒してたんだな……」


ルシュはそこまで疲労していない様だ。

俺と違い、ルシュの身体能力ではルッタを逃がしてしまう事はほぼなかったからだろう。

俺の6匹との差が少し悲しい。


「凄いな、ルシュ」


俺の言葉にルシュは少し嬉しそうな顔をする。


「うん、ありがとう。もっと頑張って報酬沢山貰おう」


「そうだな、俺ももっと頑張るよ」


疲れも取れてきた頃だ。


「ルシュ、そろそろ続きに戻ろうか」


立ち上がる前に俺達は周囲を見渡す。


「この辺りにはもうルッタはいないね。移動する?」


「そうだな、もう少し東に場所を変えようか」


畑のあぜ道を通り、俺達は東に向かって移動する。遠目には他の冒険者が戦っている様子も見えた。

ルッタ自体はまだまだ沢山いるようだ。


俺達は再び他の冒険者達と距離を取った場所を選び、

ひときわ大きな木を目印にしてルッタ退治を再開しようとした時、ルシュが俺の服をつかんで引っ張る。


「ヨウヘイ、あれ……なんだろう?」


ルシュが草原の中を指差す。


「なんだろう……って……あれはなんだ?」


俺達の視線の先には、真っ青な色をしたルッタの姿があった。


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