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第70話:農作物を守れ

 この日のギルドの様子は普段と違っていた。


 普段なら多くても10人くらいの酒場に、今日は妙に冒険者が多い。一緒に居たルシュも普段と様子が違う事に気付いていた。


「何かあるのかな?」


「うーん、モアさんに聞いてみようか」


 そう言いながら奥に近づくと、でかでかと貼られた依頼書が目に留まる。


「ルッタ退治……?」


 俺とルシュが貼り紙を眺めていると、受付のモアに声を掛けられた。


「今ルッタの退治依頼を皆さんにお願いしているんです。お二人も引き受けてはもらえないですか?」


 ルシュがカウンターの前に立つ。


「どんな依頼なの?」


「マーテン北部の農村地帯付近で、ルッタと言う魔獣を退治してもらいたいんです。

 ルッタはこの時期になると大量に沸いてきて、農作物を荒らすので、退治依頼を出しているんです」


 貼り紙を見ると、報酬はルッタ1体につき3ラントとなっている。外見は……バッタみたいだな。

 ルッタとバッタ、なんか響きも似ている。ただサイズが50センチくらいはあるようだ。でかい……。


 ガワよりも安いという事はガワよりも弱い魔獣という事か。


「魔獣そのものは強くはないんですが、数が多いんですよね……

 強制ではないんですが大変なので、是非受けて欲しいなぁ…と思ってます」


 お願いするような感じでモアが俺達に話す。


 強くないなら、まだまだ実力不足の俺にも丁度良い依頼か。

 一体の報酬は安いが、その分数を倒せるという事でもあるし、農村の人達の助けになるなら尚更だ。


 可愛い女性にこうお願いされて引き受けようと思った訳ではない。


「お安い御用です、引き受けましょう!」


 俺をじっと見つめるルシュの視線……俺はちょっと冷や汗をかいたかもしれない。

 それはそれとして、俺は依頼を快諾したのだった。


 ***


 ギルドを出て街の北に移動する。


 マーテンの北側は俺達が入ってきた東側よりも宿が多い。

 大通りを除けばこの道の方が人通りも多く、交通路としてはこちらの方が使われているようだ。


 更に北に進み、次第に建物の数が減ってくると、畑が目の前に広がった。マーテン北側の農村地帯は北部東西に広がっており、かなり広い範囲に及ぶ。

 遠目に他の冒険者達の姿が見える。彼らがルッタ相手に戦っている様子も見えた。同じ依頼を受けているとは言え、場所が近すぎると互いに迷惑が掛かるだろう。

 俺達は街道から離れ、更に北東に向かって移動した。


 ***


 視界には既に数体のルッタが見えていた。


 見た目は濃い緑色したトノサマバッタといった感じで、複眼となっている二つの目の間にある白い楕円の甲殻を除けばかなり似ている。

 見てみると、既に畑に侵入している個体もいる。


「来い、棍棒!」


 鋼のメイスを呼び出し、農作物に夢中になっているルッタに向けて走り、振りかぶって上から殴りかかる。

 ルッタはそのまま無防備にメイスを受けた。

 昆虫の殻の固い感触を受けるが、そのまま下に振り抜く。

 ルッタは俺の一撃を受け、瀕死の状態になっていた。

 やはり強力な魔獣ではないようだ。

 魔獣に手心は加えられない、俺はルッタの頭にもう一振りメイスを振り下ろした。


 一体目のルッタを仕留めた後、俺は隣にいるルシュに振り向く。


「ルシュ、手分けしてルッタを倒そう」


「うん」


 ルシュは素早く近くにいる別のルッタに向けて走っていく。

 ルシュがこの魔獣相手に後れを取る事はないだろう。


 俺も別のルッタに向けて走る。ルッタの手前数メートルの場所に近づくと、ルッタが俺の目の前から消えた。


「何だ!?」


 上を見ると、ルッタが高く跳躍していた。唖然とする俺をよそ目にルッタは数十メートル先に着地する。


「くそ、すばしっこい……な」


 この表現が合っているか分からないが口に出す。

 魔獣は基本的に狂暴で攻撃的だが、このルッタに関しては例外の様だ。

 草食の昆虫、バッタと同じような行動だ。

 逃げるのか、こいつは。


 逃げたルッタを追って走る。ルッタに追いつき、今度こそとメイスを振りかぶると、ルッタは小さく跳ねた。


「……っ!?」


 自分の身体が後ろに突き飛ばされたように浮く。

 2、3メートルは吹き飛び、尻もちをついた時にルッタの後ろ脚で蹴られたのだと気付く。


「くっそ……」


 身体は何ともない。

 草地や畑で蹴られる分には怪我をする事は早々ないと分かる。しかし……。


「思ったより骨が折れそうだ……」


 また跳躍して逃げたルッタを追いかけながら、俺はそう呟いた。


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