第66話:報酬
「その魔獣はシャグですね」
俺達はオークの青年と別れた後、ギルドの受付で達成報告をしていた。
その中で虫の魔獣の話をした時、モアさんが答えた。
「結構危険度の高めの魔獣です。街道に出る事は珍しいんですけど……」
「これについての報酬とかは……」
唐突に発生した魔獣を討伐した事について俺は尋ねてみた。
モアさんは少し申し訳なさそうに笑い、
「依頼が出ていない魔獣については討伐報酬は無いんです……すみません」
そこで少し考える素振りを見せてからモアさんが口を開く。
「でも身体の一部を素材として売ることは出来ますよ!シャグは殻が高価ですね」
俺とルシュは顔を見合わせる。
「あー……そうだった」
あの時は状況が状況だったのでそこまで気が回っていなかった。
どちらにしてもシャグはルシュにボコボコに殴られていたので、剥ぎ取れた箇所は少なかっただろう。
次からは覚えておかなければならない。
「まあしょうがない、怪我無かっただけで良かったよ」
「うん」
俺の言葉にルシュも納得している様だ。
「報酬はお支払いできませんが、シャグを討伐して頂いた事についてありがとうございます」
シャグは駆け出しの冒険者が相手にするには厳しい魔獣らしく、
魔術師がいない場合は腕力とそれなりに優秀な武器がなければ太刀打ちが難しく、
ある程度ベテランの討伐対象になるとの事だった。
……俺はほとんど何も出来なかったが、ルシュは十分太刀打ち出来ていた。
ルシュに頼れば少しくらいなら無理も出来るか……
「いやいや……」
首を振る。ルシュに頼りきりはダメだ。
俺自身も強くならないと。モアさんが言った「力さえあれば選択肢は増える」というバルドーの言葉が頭をよぎった。
あの時は半ば笑い話だったが、今日の件で少し重みが増した気がする。
***
「報酬は30ラントだったね」
帰り道、俺とルシュは並んで歩く。ルシュはガワ退治の報酬が3匹分に増えていた事に満足した様だ。
「今日はちょっと良い夕食にしようか」
俺はルシュに提案する。どこかで食べていくか何かを買うかは決めていないが、それはルシュの好みで良いだろう。
「うん、何を食べよう……?」
目を輝かせたルシュと一緒に、俺は帰路についた。




