第57話:再会は街の入口で
翌日、まだ日が昇り始めたくらいの時間に目覚める。先日は早めに就寝したので、これでも十分休めていた。
俺が目覚めてから間もなくしてルシュも目が覚めたようだ。マーテンに着いた後の事を考えると早めに行動した方が良いと判断し、朝食を酒場で済ませてから俺とルシュは宿場を後にした。
……マーテンへの道中、数組の旅人とすれ違う。当然ながら魔族ばかりだ。人族と魔人の組み合わせは珍しいらしく、何度か話しかけられた。彼らと挨拶しながら西に進む。
そろそろ正午に差し掛かろうかという時間に、ぽつぽつと民家や畑が視界に入ってくる。すぐに多くの建物が視界に広がった。
「うわぁ……」
ルシュが感嘆の声を漏らす。
「ヨウヘイ、早く行こう」
ルシュに急かされ、足早にマーテンへと向かった。
***
マーテンの入り口の門をくぐる。多くの魔族が往来する賑やかなマーテンに、ルシュは目を輝かせた。
「凄い、魔族が沢山いる……!」
キラキラした瞳でルシュがキョロキョロと周囲を見回す。
「ルシュ、少し休むか?」
ある程度平坦な道を歩き続けただけだったからか、ルシュにそこまで疲労した様子は見えない。それでも一応提案してみる。
「ううん、大丈夫。行こう」
ルシュが俺の隣に立つ。俺は頷き、記憶を頼りに以前宿泊した宿クルーノへと向かった。
俺とルシュの二人組は街の中でもそれなりに目立つらしく、ところどころから視線を感じる。
以前マーテンに来た時にもあった事なので今更気にしても仕方がない。
ルシュは少しそわそわしているが、視線は俺に対してのものなので、じきに慣れるだろう。
道を進んでいると、向こうからこちらに向かって駆け寄ってくるゴブリンの少女がいた。
「やっぱりヨウヘイだー、ひさしぶりー」
「ピウリじゃないか」
「そうだよー」
俺を見上げながらピウリが答える。会っていない間も変わらない様子で少し安心した。
「隣の子は初めて見るねー。こんにちわー」
「こんにちは」
ピウリに話しかけられたルシュは、特に戸惑うことなく返事する。村長に言葉を教わった経験がここで生きているようだ。
ここでピウリの目線がルシュの胸元に移る。ルシュが首にかけている魔道具に気付いたようだ。
ピウリは俺を見て何も言わずにニコニコしている。何となく何を考えているのか分かる気がした。
あの時ガラクタだと思っていた物が役に立っているとは、ピウリ本人も思っていないだろうが。
「アタシはピウリ、あなたのお名前は?」
「ルシュ」
「よろしくねールシュ」
ルシュがアステノに来た後にピウリが訪れた事は無かったので、
これが初対面になる。二人はすぐに打ち解けそうだった。
ピウリはルシュと少しだけ会話した後、俺に向かって話しかける。
「ヨウヘイ、テオックはいないのー?」
「実は、アステノから俺とルシュだけ出てきたんだ、冒険者になろうと思って」
俺の言葉にピウリは少し驚いた表情になる。
「ええっそうなの!?詳しく聞かせて。立ち話もなんだし、昼食まだなら一緒に食べるついでに教えてよー」
俺とルシュは顔を見合わせてから頷いた。ピウリの言葉に従う事にした。




